「……これって、誰かが故意にブレーカー落としたって、そういうこと?」
「かなちゃん。おれはそう思ったから写真に残しておいた。でもわかんなかったから、みんなの意見が聞きたかった。おれが駆けつけた時は誰もいなかったし、停電騒ぎに警察呼ぶわけにもいかないけど」
みんなはぐっと押し黙ってしまった。
「(故意に、か。……あれ? そういえば、赤い手紙があったのに、特に何もなかった)」
葵は、みんなとは少し違う視点で今回の事件を考えていた。
「(もしかすると、『停電』『花の香り』『記憶がない』ことは、繋がってる……?)」
なら、自分の記憶がないから、赤い封筒のことも『何もなかった』と、そう思ってるのかもしれない。
「(え。……な、なにがあったの。なんでわたし。記憶をなくして……っ)」
恐怖を感じて無意識に自分の腕を掴んでいると、ツバサがそっと手を添えてくる。
『――後で話がある』
そう口が動いた。理由はわからなかったけれど、もしかしたらと思いひとまず頷いておく。
すると、みんながそのやりとりを見ていたようで、少し顔が険しくなっていた。
「葵。別に疑ってるわけじゃないけど、今までどこにいたんだ」
「そうだねー。アオイちゃんが来なくて、みんな結構慌ててたんだよー」
「電気自体は、あのあとすぐおれが点けたから、あーちゃんはそのあと救護室に行ったんじゃないの?」
そう畳みかけるように質問をされて、すぐに答えようと口を開きかけた。
「(あれ。……でも、もうひとつ可能性があるよね。わたしの記憶がすっぽ抜けてる原因)」
それは――赤。どちらかと言えば、葵にとってはそっちの方が身近で、とてもいやなことで。
「(……もしかしたら、『わたし』がブレーカーを落としたってことが、有り得るのかも……)」
それだったら、本当に最悪だ。
「……おい、どうしたアオイ」
「あおいチャン?」
「どうしたの。体震えてるよ」
「(どうしよう。……どうしようどうしようッ)」
パニックを起こしそうになっていたところを、誰かの手が、みんなの視線から庇ってくれた。



