「あ。あの。れんくん」
「はい。何ですか?」
葵は彼の胸の中で身動ぎしながら尋ねた。
「こちらまで運んでくださったのは、レンくん?」
「……はい。そうですよ」
「ありがとうございました。お布団、とてもあったかかったから」
「それはよかったです」
「もう大丈夫ですね」と、レンが少し離れていく。
「よければ、もらっていただけますか」
それに少しだけ寂しさを覚えていると、そっと目の前に差し出されたのは、綺麗にラッピングされたクリスマスプレゼント。
「もしよければ使ってください」
「……開けても?」
嬉しそうに彼が頷いたので、ゆっくりとリボンを外す。
何故か震え続ける手でラッピング開けると、そこから現れたのは、可愛らしいミトンタイプの雪のように白い手袋。
「これからまだ寒くなりますので、よければ」
「……ありがとう。ございます……」
「……お気に召しませんでしたか?」
「あっ。いえ。……すごく可愛らしくて。あったかそうだなって……」
ただじっと、葵の言葉を聞いてくれている彼の瞳は、どうしてか「それで、本当は?」と言っているような気がして。
「……ちょっとだけ。れんくんっぽくないなって。そう思ってただけなんです」
彼ならもっと大人で、シックなものを選びそうな気がしたから。
「私が選びましたよ」
すごく失礼なことを言ってしまったのに、ただ彼は、やさしく微笑んでくれた。
「あ。あの。わたしも。プレゼントが……」
予め用意していたものだし、謝罪にもお礼にもならないだろうけどと、葵は紙袋から長方形の箱を取り出す。
「男性に贈り物なんて初めてで。……どんなものが喜ばれるかわからなかったのですが」
「……開けても?」
彼の、綺麗な長い指先が、静かに箱を開ける。
葵が選んだのは、アンティーク調の腕時計だった。
「……どうして、こちらを?」
「お。お気に召しませんでしたか……?」
「とんでもないです。とても素敵で嬉しいです。……ーーーと、ーーーーーーーたので……」
「れんくん……?」
けれどもう一度掠れてしまった言葉を言うつもりはないようで、彼は小さく笑って葵の言葉を待っていた。
「時は金なりと言いますし。今ある時間を大切にしていただければと。そう思ったんです」
「……そうですね。今この時もこの時計も、ずっと大事にします」
嬉しそうに、にっこりと笑ってくれた。
気に入ってくれたみたいでよかったと、ほっと安堵していると「あおいさん。よければ一曲、お願いできますか?」と、ダンスを申し込まれる。
「……でも。ここに音楽は……」
と思っていると音楽が流れ始める。彼のスマホからだった。
「……クラシック。お好きなんですか?」
「嫌いなわけではないですが。……ただ、入れておくといいと言われたので」
はっきりしない回答に首を傾げていると、彼は小さく笑って膝を突く。
「踊って、いただけますか?」
「ふふっ。……はい。わたしでよければ」
差し出された手を、今度はすんなり取ってベッドから下りる。



