それから台車でケーキを運んでいき、各クラス一人一人へケーキが渡った。みんなに行き渡ったのを確認し、ステージ上のカナデへ合図を送る。
「それでは皆様、ケーキが行き届いたようなので、どうぞお召し上がりください!」
そうして一斉に――パクリ。
「各クラスお一人だけ、幸運の持ち主がおられます! ケーキの中に『天使』の人形が入っている方がいましたら、どうぞ壇上へとお上がりください! 理事長より景品が贈られます!」
「それでは俺たちもいただきまーす」というカナデの声を聞いて、葵たちも各クラスに混じってケーキを一つ食べ始める。
理事長が用意してくれたくす玉のプレゼントは、葵のクラスでもチカゼたちのクラスでもなかった。それを引かなくて心底よかったと、誰だか知らないけどありがとうと、隠れてこっそり拍手を送っていた。当たったクラスはかわいそうだったけれど。
「(まあ、わたしのケーキには何も入ってないしなー)」
葵の担当クラスはすでに当たった人が大はしゃぎしていた。後に理事長からのプレゼントだったことを思い出して、頭を抱えていたけれど。
それぞれのクラスでも当たりの人がいたみたいで、ステージへと向かって歩いて行っているのが見えた。
「(にしても、このケーキめちゃくちゃ美味しいんだけど! 流石はアキラくんチョイス!)」
ぱくぱくと食べ進めていると、フォークに何かがこつんと当たる。もしかしてクルミか何かだろうか。紛らわしいんだからと思って掻き分ける。
「……『ピエロ』だ」
そこから現れたのは、首だけのピエロ。
「(はは。わたしが道化ってこと? 滑稽だって? そう言いたいんでしょうよ、どうせ。えぇえぇそうでしょうとも。端から見れば滑稽でしょうから)」
そのピエロを、残りのケーキと一緒にゴミ箱へと投げ捨てる。
「(……絶対に誰も、消させやしない)」
ひらりと体を翻し、葵はステージ上へと戻った。今は理事長が、一人一人に景品を贈呈中。景品は理事長が特別に選んだものらしくて、一人一人違うらしい。
「(え。キサちゃん、引き強すぎじゃない?)」
クラスの生徒を差し置いて、まさか選ばれてしまうなんて。
「(や、やっぱり強運があれば、わたしも運命から解放されるんじゃなかろうか)」
もはや何かに縋りたい気持ちでいっぱいだった。
「今日のラッキーな皆様、本当におめでとうございました! それでは皆様、大変長らくお待たせ致しました。プレゼント交換のお時間でございます。入場時に引いていただきました、クリスマスカードをご用意くださいませ」
カナデのその言葉とともに、会場全員が手に持っているカードを準備する。
「カードの色と外側に描かれている絵柄の同じ人が、今日のダンスのお相手でございます。中に書かれてありますメッセージは、ペアの人と会って始めて言葉がわかるようになっております。その方にプレゼントを交換しましたら、どうぞお時間が来るまで楽しいクリスマスパーティーをお過ごしくださいませ」
締めの言葉に、会場から拍手が上がる。
それから一斉に、参加者たちが相手を捜しに動き始めた。
「皇くーん!」
「東條くーん! カードなあにー?!」
「ツバサくんも教えてー!」
「二宮くんもー!」
「氷川くん! サンタ可愛かったー!」
「チカゼくーん」(※第①巻登場柔ちゃん)
「ひなたくんひなたくんひなたくーんっっ」
「桜庭さんっ! これっ、ぼくからあなたにプレゼントをおー!」(※コンテストで司会進行した人)
「道明寺さん! ミニスカ履い――」
取り敢えず、みんなは散り散りに逃げた▼



