「一旦お疲れ~!」
軽く食事を挟みながら、まず一息。控え室にもある程度料理を運んでいた。理由は簡単。ごった返すから。でも今回は、後夜祭と違ってペアは決まっているから大丈夫でしょう。
それと、表に出ないのはここでもう今日は集まらずに解散予定だからだ。
「一応0時までだが、理事長と菊が照明を切って、鍵は閉めて帰ってくれるみたいだから、みんなも好きな時に帰ってくれて構わないからな」
「(なんと。ここでまさかのキク先生が働いてくれるとは)」
「きっと後夜祭みたくヘロヘロになると思うけどねー」
「え? でも、ペアは決まってますから……」
「そのペアがわかるまで詰め寄ってくるから、見つかるまで大変なんだろうが」
「あ。確かに、そうですね……」
「大変だけど、あーちゃんだったら嬉しいな?」
みんなが一斉にカードが入ったボックスを見る。
「先に片付けのことを話してから引きましょうね」
先に集まった理由には、この後の片付けの話し合いも含まれていた。
「みんなの都合がいい日にしよう」
「クリスマスイブと当日は無理ー。というかしたくなーい」
カナデにみんなが同じように頷いている。
「なら明日か?」
そして、アキラの言葉にみんなはまた頷いた。
「それじゃあ明日にしよう。明日、昼過ぎに集合して片付けを始めよう。桜李、おじ……お父さんに、何人か手が借りられるか聞いてみてくれるか。休日出勤だから、理事長のポケットマネーから明日分は出すと言っておいてくれ」
「うんわかったー!」
勝手にさくっと決めちゃったけど。どうやらみんなは、早くカードを取りたくてうずうずしているようだ。それがなんだかおかしくて可愛くて、クスッと笑ったあとボックスを取りに行く。
「はいキサちゃんどうぞ。中身はまだ見ちゃダメですからね?」
「ありがとうあっちゃん!」
さておかれた男子たちは、豪快にずっこけていた。
「灰色のカードですね。絵柄は何でしたか?」
「えっとねー……あ! 【雪だるま】が描いてあるよ!」
「……へ、へえ。そ、そうですか……」
「え? あっちゃんどうしたの?」
葵は何も言わず、自分も引かず。取り敢えず残り一枚になったボックスを置いた。
「(これこそ本当に運命なんじゃないかな。引きの強さ、恐ろしや)」
正直、その強運を分けて欲しいと思った。
「さーて男性陣諸君、お待たせ致しました。ここから勝手にどーぞ」
「扱い酷いッ!」と文句を言いつつ、みんなはボックスから一枚ずつ引いていった。
アキラは黄色地に【ヒイラギ】、カナデは白地に【トナカイとサンタ】、ツバサは薄ピンク地に【ジンジャーブレッドマン】、アカネは青地に【ジングルベル】、チカゼは赤地に【天使】、オウリは薄紫地に【プレゼント】、ヒナタは黄緑地に【リボン】が描かれていた。
「さて。お料理を戴きましょうかキサちゃん」
「うん! そうだね~」
案の定みんなからは「引かないの?!」と総突っ込み。
「今わかっちゃったら楽しくないじゃないですか。誰とでもなかったらどうするんですか。どんよりした空気でご飯食べるんですか。そんなの美味しくないでしょうよ。わたしはやだよ」
「あっちゃん仮面仮面!」
「おっと。ありがとうございますキサちゃん」
仮面の取り外しが、逆に面白くなってきてしまって、女子二人してぷっと吹き出して笑い合う。



