すべてはあの花のために⑤


「一旦お疲れ~!」


 軽く食事を挟みながら、まず一息。控え室にもある程度料理を運んでいた。理由は簡単。ごった返すから。でも今回は、後夜祭と違ってペアは決まっているから大丈夫でしょう。
 それと、表に出ないのはここでもう今日は集まらずに解散予定だからだ。


「一応0時までだが、理事長と菊が照明を切って、鍵は閉めて帰ってくれるみたいだから、みんなも好きな時に帰ってくれて構わないからな」

「(なんと。ここでまさかのキク先生が働いてくれるとは)」


「きっと後夜祭みたくヘロヘロになると思うけどねー」

「え? でも、ペアは決まってますから……」

「そのペアがわかるまで詰め寄ってくるから、見つかるまで大変なんだろうが」

「あ。確かに、そうですね……」

「大変だけど、あーちゃんだったら嬉しいな?」


 みんなが一斉にカードが入ったボックスを見る。


「先に片付けのことを話してから引きましょうね」


 先に集まった理由には、この後の片付けの話し合いも含まれていた。


「みんなの都合がいい日にしよう」

「クリスマスイブと当日は無理ー。というかしたくなーい」


 カナデにみんなが同じように頷いている。


「なら明日か?」


 そして、アキラの言葉にみんなはまた頷いた。


「それじゃあ明日にしよう。明日、昼過ぎに集合して片付けを始めよう。桜李、おじ……お父さんに、何人か手が借りられるか聞いてみてくれるか。休日出勤だから、理事長のポケットマネーから明日分は出すと言っておいてくれ」

「うんわかったー!」


 勝手にさくっと決めちゃったけど。どうやらみんなは、早くカードを取りたくてうずうずしているようだ。それがなんだかおかしくて可愛くて、クスッと笑ったあとボックスを取りに行く。


「はいキサちゃんどうぞ。中身はまだ見ちゃダメですからね?」

「ありがとうあっちゃん!」


 さておかれた男子たちは、豪快にずっこけていた。


「灰色のカードですね。絵柄は何でしたか?」

「えっとねー……あ! 【雪だるま】が描いてあるよ!」

「……へ、へえ。そ、そうですか……」

「え? あっちゃんどうしたの?」


 葵は何も言わず、自分も引かず。取り敢えず残り一枚になったボックスを置いた。


「(これこそ本当に運命なんじゃないかな。引きの強さ、恐ろしや)」


 正直、その強運を分けて欲しいと思った。


「さーて男性陣諸君、お待たせ致しました。ここから勝手にどーぞ」


「扱い酷いッ!」と文句を言いつつ、みんなはボックスから一枚ずつ引いていった。
 アキラは黄色地に【ヒイラギ】、カナデは白地に【トナカイとサンタ】、ツバサは薄ピンク地に【ジンジャーブレッドマン】、アカネは青地に【ジングルベル】、チカゼは赤地に【天使】、オウリは薄紫地に【プレゼント】、ヒナタは黄緑地に【リボン】が描かれていた。


「さて。お料理を戴きましょうかキサちゃん」

「うん! そうだね~」


 案の定みんなからは「引かないの?!」と総突っ込み。


「今わかっちゃったら楽しくないじゃないですか。誰とでもなかったらどうするんですか。どんよりした空気でご飯食べるんですか。そんなの美味しくないでしょうよ。わたしはやだよ」

「あっちゃん仮面仮面!」

「おっと。ありがとうございますキサちゃん」


 仮面の取り外しが、逆に面白くなってきてしまって、女子二人してぷっと吹き出して笑い合う。