すべてはあの花のために⑤


「無線の用意はできてるか」

「おう。大丈夫だぜアキ」

「館内はもうみんな入ってきたみたいで、各クラス好きなくす玉の下へ移動してもらってるよー」

「ついでに代表で割ってもらう人、今回は紐を引っ張ってもらう人を選んでもらってるよお~」

「業者の人は、くす玉を引っ張り終わり次第業務終了だよ! それまでは一応付いておくって、『お父さん』が言ってた~!」

「お、お父さん!?」


 まさかのここで爆弾発言!
 カリン退院後に籍を入れたそうだが、いざとなると行動は早いゴリラ・ヒエンだった。


「えっと、みんなが綺麗に飾ってくれたおかげで、ツリーの根元がとっても綺麗だよ!」

「花も早くに全部飾ってくれたみたいで、台の撤去もスムーズにいったわ」

「立ち入り禁止のロープとネットも問題なし」

「飾りが落ちてきちゃいけないから、もう屋根は開けないことにしたんだよね?」

「ああ、もう『落ちない』ようにしよう」

「料理も運び込まれて、会場内で数カ所実演もやってくれるみたいだよお!」

「みーくんドリンクも準備してくれたみたい! 後夜祭の時同様バーテンさんがいたよ!」

「そういえばアキラくん、ケーキは?」

「完璧としか言いようがない。早く食べたい」

「そ、そう……」


 ――――さあ、機は熟した。


「何かあれば必ず連絡だ。いいな」

「はい!」



 学校全体を巻き込んだクリスマスパーティーの開始まで、あと――――……。