そのあとオウリが来たので、葵は入れ違いで更衣室へと着替えに行った。
「そうだ。ボックス持って行っておこう」
時刻は16時半。あと30分したら参加者が入場してくる。
葵はサササーッと着替えて更衣室を出ると、トナカイさんと出会した▼
▷①赤い鼻を引っ張ってみる
②ソリを背負わせてみる
③自分を担がせてみる
「(うーん。どうしたもんか。久々の選択肢登場だ)」
手を顎において悩んでいる葵に対し、当のトナカイさんは、葵のミニスカサンタを見て目のやり場に困っている様子。
「(……うん。やっぱ③かな? よし、そうと決まったら……)ちょっとそこのトナカイさん? プレゼントを届けに行くからわたしを運んで行ってくれないかしら?」
とか言ってみたけど、いつもなら葵を抱きかかえてグイグイ首元とかに顔を埋めてくるのに、今日はそれはないらしい。
「(なんだよう。せっかくできる範囲でちょっとおちゃらけてみたのにい)」
葵は少し拗ねて唇を尖らせた。
「どうしたんですかアキラくん。あ、もしかしてどこかおかしいところがありますか?」
一歩近づくと、何故か一歩離れた。
「(え? なんだっていうの?)」
「あ、葵。来たら、ダメだ」
「え」
何かあったのだと思った。すごく苦しそうな顔で、胸を押さえているから。
「え。アキラくん。何があったの。ねえ」
不安になってまた一歩近づくけど、彼はまた一歩遠退く。
「近づいたら、だめだ……っ」
「な、なんで? 何かあったの? ねえ!」
葵は一気に間合いを詰め、いわゆる壁ドンをした。
「何があったのって聞いるの! 早く答えて!」
「……。っ、あ、おい……」
苦しそうな彼に、不安で胸が押し潰れそうだった。
壁についている手をグッと握り締めると、アキラが葵の腕を掴んでくる。
「あきら、くん?」
「……悪い。葵……」
そう言って彼は、葵を自分の腕の中に引き寄せる。
「あ、あきらく……っ」
「お前が悪い。来るなって言ったのに」
ぎゅうぎゅうと腕に力を入れられ、今度は本当に胸が押し潰されそうに。
「ちょ、あきらくんっ!」
「もう無理ほんと無理。今までお前が近づかせてくれないし話してもくれないから、俺もう我慢の限界」
体を反転したアキラに、気付けば葵の方が今度は壁ドンされていた。
「……こ。こらっ! なにやってんのっ! 仕事中!」
「もう殆ど終わった」
「……!? や。やめ……っ」
彼は、葵の耳に、首に、音を立ててキスを落としていく。いつの間にか足を割って体が入ってきていて、身動きがとれない。
「……好きだ」
「――!」
キスを落とす度に囁かれ、腰が抜けそうになったところで、まさかの救世主登場。



