すべてはあの花のために⑤


 そのあと、葵はネットを渡り無事に脱出。時間が20時になっていたので、また明日最後の飾り付けをしようということに。
 今は業者もいなくなり、生徒会メンバーだけで明日の段取りを確認し合っていた。


「アオイちゃん大丈夫だった!?」

「うん。へーきへーき」

「もう、心臓止まっちゃうかと思ったよお……」

「大丈夫だってアカネくん! 中途半端な命綱付けてたし!」

「ごめんあーちゃん。その長さにしたの、おれなんだ……」

「!? そ、そうか。ぜっ、全然中途半端じゃなかったよ?! ピタッ! って、ほら。わたしネットにあの高さから着地できたからね! すごくない? あははは!」


 まさかのオウリが犯人だったので、早々にとっちめるのはやめた。


「……にしても誰が屋根開けたんだよ」

「だよね。みんなで作業中は開けないって決めてたのに」

「楽団の人も業者の人も、流石にステージ裏に入ってまで、わざわざスイッチを押しに行くなんてことはないだろうけど……」

「ツバサくんの言う通りだ。しかも、動いたのは屋根だけ……」


 他にも照明や窓、垂れ幕など、いろんなスイッチがあるにもかかわらず。


「ここのことを、よく知ってるってこと?」

「……うんヒナタくん。わたしは、そう思う」

「で、でも誤作動かもしれないし、一概には言えないよね?」

「確かに、キサちゃんの言うとおり、可能性はあるだろうけど……」

「取り敢えず明日だ。何かあればすぐに対応を」


 アキラがばっちり締めてくれたところで、葵は迎えが来るから帰ろうとした。


「葵」

「うん?」


 仕事以外で話す葵たちを見て、みんなはほっとしたような顔つきになっていた。


「俺は、諦めないから」

「……そっか」

「でも、我慢もする。その程度が酷かったら、またお前を困らせるかもしれない」

「それは、ちょっと勘弁して欲しいけど」

「いきなりはやめた。徐々に攻める」

「え。我慢ってそういうこと?」

「俺はお前を逃がしたりなんかしない」


 アキラの目は、真っ直ぐに葵の『瞳』を見つめていた。