そのあと、葵はネットを渡り無事に脱出。時間が20時になっていたので、また明日最後の飾り付けをしようということに。
今は業者もいなくなり、生徒会メンバーだけで明日の段取りを確認し合っていた。
「アオイちゃん大丈夫だった!?」
「うん。へーきへーき」
「もう、心臓止まっちゃうかと思ったよお……」
「大丈夫だってアカネくん! 中途半端な命綱付けてたし!」
「ごめんあーちゃん。その長さにしたの、おれなんだ……」
「!? そ、そうか。ぜっ、全然中途半端じゃなかったよ?! ピタッ! って、ほら。わたしネットにあの高さから着地できたからね! すごくない? あははは!」
まさかのオウリが犯人だったので、早々にとっちめるのはやめた。
「……にしても誰が屋根開けたんだよ」
「だよね。みんなで作業中は開けないって決めてたのに」
「楽団の人も業者の人も、流石にステージ裏に入ってまで、わざわざスイッチを押しに行くなんてことはないだろうけど……」
「ツバサくんの言う通りだ。しかも、動いたのは屋根だけ……」
他にも照明や窓、垂れ幕など、いろんなスイッチがあるにもかかわらず。
「ここのことを、よく知ってるってこと?」
「……うんヒナタくん。わたしは、そう思う」
「で、でも誤作動かもしれないし、一概には言えないよね?」
「確かに、キサちゃんの言うとおり、可能性はあるだろうけど……」
「取り敢えず明日だ。何かあればすぐに対応を」
アキラがばっちり締めてくれたところで、葵は迎えが来るから帰ろうとした。
「葵」
「うん?」
仕事以外で話す葵たちを見て、みんなはほっとしたような顔つきになっていた。
「俺は、諦めないから」
「……そっか」
「でも、我慢もする。その程度が酷かったら、またお前を困らせるかもしれない」
「それは、ちょっと勘弁して欲しいけど」
「いきなりはやめた。徐々に攻める」
「え。我慢ってそういうこと?」
「俺はお前を逃がしたりなんかしない」
アキラの目は、真っ直ぐに葵の『瞳』を見つめていた。



