「だから、今は手を放して?」
「葵……」
「はよ放さんかい」
「あ」
限界が来たのか、それとも葵の凄みが怖かったのか、アキラはさっと手を放した。
「はっ、放すならせめて言ってからああぁぁー……」
「ご、ごめん葵」
ちなみに落ちていった葵は無事、腰のロープで「おえっ!?」となりながらネットの上に立った。
「(腰痛ーいッ! どうせならネットにダイブする方がよかったんですけど……!)」
どうやら下のみんなも、葵が危ない状態になっていたのは気がついたようで、今はもう屋根は閉まっていっていた。
ただ、このロープの長さにだけはちょっと文句を言ってやろうと、思ったところでふと、嫌な予感がして辺りを見回した。
「……はは。またですか」
ご丁寧にまた、赤い封筒がちょこんと異質にツリーに飾り付けしてあった。
「わたし、赤い封筒センサーなるものが付いてるのかもしれないわ、うん」
下でギャーギャー言っているみんなへ、「あーはいはい。下りますよ。ちょっと待っててねー」と答えながら、ツリーへ手を伸ばす。そして、無事に取れたそれを手に、ネットへ座り込んだ。
「今度はなんだろう。この間〈クリスマス楽しもうぜ! お互いにな!〉って手紙くれたばっかりなのに」
葵は封を開き、ガサガサと手紙を取り出す。
それを読み終わったら後ろにそのまま倒れ、ネットの上へ仰向けになった。
「はは。はははは……」
乾いた笑い声を出しながら、額に腕を当てた。
「……上等だ、このばかちんが」
ぐしゃりと紙を握り潰し、ジャージのポケットへと押し込んだ。



