「……やっと笑った。すごくきれいでかわいかったから、笑った顔が早く見たかったの」
「わ、わたしなんかきれいじゃないし。かわいくなんか……あ。あなたの方が、とってもかわいいよ?」
「……かわいくないよ。だってあたしは汚いもん。真っ黒だもん」
確かに女の子は真っ黒の髪で、それがとても綺麗でした。
「そんなことないよ? 黒くてとってもきれい。……わたしの方が、もう真っ黒だよ。汚れちゃってる」
「あなたはきれいだよ!」
「ううん! あなたの方が!」
そんな言い合いをしているのも、なんだかバカらしくなりました。
それからは、ここで泣いていると、女の子がひょっこり現れるようになりました。
「あなた、お名前はなんていうの?」
「……えっと……」
「それも言えないんだね」
「ご。ごめんね」
「だったらハナちゃんって呼ぶ」
「え?」
「いつもお花に囲まれてるから。だから、ハナちゃん?」
「はな、ちゃん……」
「……いや、だった?」
「ううんっ。うれしい! あなたは? なんて呼んだらいい?」
こどもが聞くと、女の子は黙り込んでしまいました。
「……あなたも、言えないの?」
「うん。ごめんね」
「だったら、なんて呼んだらいいかな?」
「何でもいいよ。ハナちゃんが好きなように呼んで?」
そんなことを初めて言われたこどもは、うーんと悩みました。



