すべてはあの花のために⑤


「写真を拝見させてもらって、みんなの仲がずっといい理由がわかった気がします」


 写真の中には、キクや理事長、その他の友達であろういろんな人が写っていた。


「もうすぐ、クリスマスですね。アキラくん」

「? ああ、そうだな」

「楽しみ、ですか?」

「みんながケーキを前にして喜ぶのは目に浮かぶ」

「ふふ。わたしも、きっといい思い出になるんじゃないかと思ってます」


 アキラはそっと、葵の手に自分のそれを重ねる。


「……葵」

「はい。なんでしょうアキラくん」


 そんなことなんでもないように、葵は綺麗に仮面を着けた。


「……ッ、どうして俺の前でも仮面を着ける必要がある。生徒会室と一緒だろ。外してくれ」

「アキラくんの部屋には、何もありませんか」

「……どういう、ことだ」

「いえ。何でも。……大丈夫ですよアキラくん。わたしだって、好きでアキラくんの前で着けているわけではありませんから」


 仮面を着けた状態で、精一杯笑う。


「いつか。剥がれるその時まで、……待っててくれますか?」

「待たない。今すぐ俺が剥がす」

「アキラくん……」

「なあ葵。隠してることがあるだろう」


 俯いても、覗き込むようにしてグレーの瞳が追いかけてくる。


「何を、仰っているのか」

「じゃあ仮面を着けている理由を教えてくれ」

「これは……」

「言えない? なら、どうしてお前は家族に駒扱いされてるんだ」

「それは。わたし、だからで……」

「もっとわかりやすく」


 拳を作り、葵は歯を噛み締めた。


「……っ、言いたく。ありません……っ」

「……そうか」


 諦めてくれたかと、ほっと息を吐こうとしたら、肩をとんと押された。


「えっ。あ、アキラくん?」

「頼む葵。教えてくれ」


 少し長くなった黒髪が、ベッドに広がる。指と指が絡み、ベッドに柔らかく押しつけられる。

 上から、灰色が見下ろしてくる。


「お前を。お前のことを。俺は、……知りたいんだっ」