すべてはあの花のために⑤


「これは? 生まれた頃?」

「ああ。だな」


 葵が指差したのは、アキラがシントに抱かれ、その後ろで二人を支えるように座る両親が写った写真。


「これは……保育園?」

「そうだな」


 可愛い園児が着る服を着て、無表情で写るアキラとは違って、シントはどこかもう大人びたような。達観した笑顔で笑っていた。


「(まだ園児でしょうが。どれだけ頭よかったのよあなたは)」


 と言いつつも、人のことは言えない。恐らくシントよりも遙かに、葵は頭がいいのだ。……二人ともおバカであることには違いないが。


「あ。みんなが写ってる」

「これは……小1だな。まだ桜李たちには会ってない」


 そこにはアキラの他に、カナデ、ツバサ、アカネ、キサが写っていた。


「みんな可愛い……」

「葵の写真も見てみたい。きっと可愛いから」


 小さく微笑むアキラに、葵は微笑みを返すことしかできなかった。


 それからどんどんページを捲るごとに、みんなが大きくなっていく。


「(……あれ?)」


 葵の中で何かが引っ掛かったが、掴みきれないまま、すぐに消えてなくなった。


「(……なんだったんだろう、今の)」


 それに首を傾げながらアルバムを閉じ、アキラに返す。


「いらないのか? 集めてるんだろう?」

「そんな! アキラくんが大事にしているアルバムごとは流石に戴けません!」

「え。いや、菖蒲さんから杜真のアルバムは貰ってただろ」

「それは、トーマさんが持っていなかったからです。流石にアキラくんが大事にしているものは戴けません」


 腕を突っ張って、アキラに断りを入れる。


「……じゃあ、焼き増ししたらいるか?」

「いります! ありがとうございます! 小っちゃい頃の全部下さい!」


 一体何に使うのか怖かったが、取り敢えずは葵の勢いの方が怖かったので、「わ、わかった」と頷いたアキラだった。