でも彼はどちらかというと、突っ掛かってくる三人の反応を見て楽しんでるみたいだ。
「(なんだ。この四人が仲良いんだね)」
問い質そうとしてくる三人を、上手くひらりと躱して、逆に痛いところを突いている。
「(彼が目で『今のうちに』と言ってくれてるので、さっさと退散しますか)」
目線で会話をした後、互いに小さく礼をして、葵は1-Sを後にした。
「(ただ放課後尋問されそうだけど……)」
そんなことを思いながら、全クラスを回れた葵は教室へと戻ってくる。
「あっちゃんおはよ~」
「あ、おはようございますキサちゃん」
「おはよーアオイちゃん」
「おっはよお~!」
「おはよ」
「おはよう葵」
「カナデくんもアカネくんもツバサくんもアキラくんも。おはようございます」
以前も軽い挨拶程度だった。みんなの前以外では、いつでも仮面は着けてたから。
「(確かにこれは、剥がれすぎだったかもしれない)」
ムカつくけれど、あいつに言われた通りだ。
ふとした瞬間。みんなの前だったら、他の生徒がいても仮面を外していたのだろう。
今までは何の苦労もなく着けられていたのに、葵にとってそれだけみんなの存在が大きくて温かいものなのだと、改めて実感させられる。
「(だって、これを着けたら一気に冷たくなるんだ)」
それでも、葵は『着ける』ことを選んだ。
でもそれは、『諦めた』わけではない。
午前の授業を受け終えた葵は、みんなに断りを入れて生徒会室へと足を進める。そこでなら鍵を閉められるからだ。
「さて、と」
赤い封筒は全部で五つ。ご丁寧にも、引き裂かれたポスターを初めに発見した掲示板以外の全てに、押しピンで貼られてた。しかも一つの手紙をわざわざ五つに分けたようで、文章を並び替える手間が増えて面倒くさいことこの上なかった。



