「……じ、じゃあ金曜日の放課後また結果を伺いに来るので。それまでに集計をお願いします月雪くん」
「蓮で結構ですよ。道明寺先輩」
「え……?」
「というか『つきゆき』って、言いにくくないですか? 私も時々、自分の自己紹介の時噛むんですよ」
「え? そんなことは……」
「でも、『れん』と言う方が簡単でしょう?」
どうやらもう、名字では呼ばせてくれないみたいだ。
「……じ、じゃあ。レンくんで。いいですか?」
「はい。……ありがとうございます道明寺先輩」
名前を呼ぶと、彼は嬉しそうに笑ってくれた。
「……あの、『道明寺』も長くて言いにくくないですか? 『先輩』まで付けたら余計に……」
「え?」
「あっ。すみません。何言ってるんだろわたし……」
そんなの、遠回しに――――。
「……では、あおいさんと。そうお呼びしても?」
「――!」
下の名前で呼んでくれと。そう言ってるようなものだ。
「あ! あーちゃんだあー!」
小さく一つ頷いていると、廊下に見知った三人の姿が。
「オウリくん、チカくん、ヒナタくん。おはようございます」
「はよ。何やってんの」
「各クラス委員長にクリスマスパーティーのプリントを渡して説明をしていたんです」
「朝からご苦労様」
「それでは」と違うクラスへと行こうとしたら、オウリが「えー。もうちょっといてよー」と葵の腕に抱き付いてくる。
「お、オウリくん。わたし、他のクラスにも行かないといけないので」
「むー! じゃあ、また生徒会室でね!」
もしかしたら、葵が仮面を着けていることで距離を感じているのかもしれない。
そうではないのだと、少しでも伝わるように、精一杯『仮面』の微笑みに気持ちを乗せる。
「はい。それではまた」
「うん! じゃあねあーちゃん!」
「頑張れよ」
「じゃあね下僕」
「それではまた金曜日、お待ちしてますね。あおいさん」
「はい。オウリくん、チカくん、ヒナタくん、レンくんっ」
すると、ただ名前を呼び合っただけなのに、何故か三人に突っ掛かれた。
「えーっと?」
「何かおかしなとこがあったかな。氷川、柊、九条」
「なんでそんなに仲良さげなのっ!?」
「いつの間にそんな仲良くなったんだよっ!!」
「えっと、仲良くなったというか」
「手を繋いで一緒に走って登校する仲ではありますかね?」
「ちょっとレンくん、そんな言い方だと――」
「どういうこと」
「ひいっ……!」
や、やっぱりこうなるよね。



