「(……俺が自分を責めてたのは、アオイちゃんを見失っちゃったから)」
そばにいたいと。ずっと見ていると。
そう決めたはずなのに、それができなかった自分が悔しくて。
無意識にまた、繋いでいる手に力が入って、顔を手で冷まそうとしてる葵が首を傾げながら見上げてくる。
「ああもうっ! 絶対に俺は負けないからなーッ!」
「か、カナデくん……?! ど、どうどう。お、落ち着いて?」
「もおー! なんなの本当にいーッ!」
「こっちが聞きたいんだけど。本当にどうしたの? ちょっと落ち着こ? わたしとちゅーしたのが原因か? ええ?」
これ以上変な目で見られたら堪ったもんじゃないと、鎮めようと頑張る葵の両手を包み込む。
「アオイちゃん、もう一回言っとく。俺は、やっぱりアオイちゃんにずっとそばにいて欲しいんです」
「え。は、はい。そうですか」
「これからずっと、俺のそばにいて欲しいんだよ。これからは俺が、君をそばで守ってあげたいから」
「カナデくん……」
「だから。……もう見失わない。アオイちゃんの手は、ずっと繋いでおくから。だから、アオイちゃんも俺のこと見てて。絶対。そばにいる俺のこと、ちゃんと見てて」
「……うん。ちゃんと、見ておいてあげようっ」
まわりで見ていた人たちから「きゃあっ」と短い悲鳴が上がる。
『おいおい、こんなところでプロポーズかよ』
『いいじゃない。なんだかロマンチックじゃないのっ』
みたいな声も聞こえたので。
「「(いや、振って(振られて)るんだけどね)」」
と、二人して思っていたけれど。
そんな様子をみんなは、『あー。頑張ってるなー』と思って見ていた。
「……ま、そういうことだから、よろしく」
「うん。流石にお手洗いの時は手外すけどね」
いまいち伝わってるのかどうか怪しい返答をされたけれど、葵の耳は少しだけ赤くて。
ちゃんと伝わってよかったと、カナデは満足げに頬を緩めた。



