「(やっぱこうなるよね……)」
わかってはいたけれど、黙っているのも嫌だった。
何故なら、一刻も早く素になれるように頑張りたかったからだ。
……頑張らないと、いけないのだから。
葵は空気を変えようと、大きくパンッと手を叩く。
「今日はこれで終わりだよね? 解散かいさーんっ!」
そう言った葵は、アキラのそばに駆け寄る。
「ん? どうした葵」
「まだできてなかったから、挨拶に行きたいんだけど。お忙しいかな」
みんなは耳をそばだてていた。
「ああ、そういうことか。そうだな……この週末なら大丈夫だと思う。それでも構わない?」
「うん! できればクリスマスまでに会っておきたいなって思ってたから」
「俺からも言っておこう。シン兄は来られるのか?」
「うーん、送り迎えには来るけど、流石に皇にはまだ無理かも。わたし一人ででも大丈夫?」
「ああもちろんだ。きっと父さんも喜ぶ」
「そっか! よかったー」
「あと、母さんにも会っていくか?」
「うんっ。ご挨拶したい!」
会話の内容に、みんなの顔が険しくなる。
「はあー。やっとご挨拶に行けるよお~」
「いつでも遠慮なく来てくれ。でも、葵からそう言ってくれて、俺も嬉しい」
「あ、あのさ~? なんでアオイちゃんは、アキのご両親に挨拶行くのー……?」
「え? なんでと言われても……」
「俺と葵の仲だからな。当然だ」
「え? アキラくん、どういう意味?」
「両親に、ちゃんとお前を紹介したいってことだ」
案の定、みんなから「えええ?!」と声が上がる。
「それだと意味合いが違ってくるよ。アキラくんが言いたいのは、『俺を助けてくれた……』的な話でしょう? まあ助けたわけではないけれど」
「それもあるけど、俺の大事な人で、好きな人で、将来をともに……もごもごもご」
「アキラくんがそんなこと言うから、みんながいちいち突っ込んでくるんだよ? 突っ込む方だって大変なんだよ?」
「ご、ごめん……」
しゅんとしたアキラを見て、みんなは『取り敢えず、結婚の前の挨拶とかではないらしい』ということだけは理解したようで、ほっと息を吐いていた。
こんなぐだぐだで今日は終わったけれど。事前に言ったとおり葵は、生徒会室以外ではみんなの前でもしっかり【仮面】を着け始めたのだった。



