他にもいろいろ決まったが、それはまた本番のお楽しみということで、今日の会議はこれにて終了。
「ごめんみんな! ちょっとだけわたしからいいかな!」
会議が終わって帰りの支度をしている時、葵が声を上げる。
「またしばらく、みんなと一緒に帰ったりできそうになくて……」
葵がそう言うと、みんなの視線が鋭くなる。
「どうしたんだ。また何かあったのか」
心配そうなアキラには、「ううん。『何も』ないよ?」と答える。
「だったら、お家の人に何か言われた?」
やさしい声で聞いてくれるカナデには、「ううん。『何も』言われてないよ?」と。
「じゃあなんで帰れねえのか、教えろ」
容赦なく聞いてくるチカゼには、ため息をついて「……迎えが、来るからなんだ」と、少し息を詰まらせながら答えた。
「……そう。『何も』言われてないのに、迎えが来るのね」
ツバサはそう聞いてはきてもそれ以上深くは聞いてこないから、「そう、だね」と、それだけ返す。
結局のところ家が問い質してくることはなかった。それでも迎えに行かせるということは、『疑っている』と言われているようなものだから。
「あおいチャンが嫌なら、『おれらが送ります』ってお家の人に直接言うよ?」
首を傾げながら、笑顔でアカネはそう言ってくるけど、瞳の奥では『そんなこと言ってくる親の顔が見てみたい』的な、ちょっと怒りがこもっているように見えた。
「ううんアカネくん。わたしも了承したから嫌ではないんだ」
そんなの、嫌に決まってる。みんなと帰った方が楽しいし、素でいられる時間が増えるから。
「でもあーちゃん、なんだか苦しそうだよ……」
やっぱり気をつけていても、彼には分かってしまうらしい。
「まあみんなとしばらく一緒に帰られないのは寂しいけど、ちょっとの間だけだからね。また一緒に帰られる日が来るのを楽しみにしておこうと思うよ!」
「でも」と、葵は要心して付け足す。
「帰られるようになっても、わたしは生徒会室を出たらみんなの前でも【仮面】を……みんなに会う前の、素じゃないわたしになるから。それだけはどうか、覚えておいて欲しい」
案の定、みんなは驚きを隠せないでいた。
「ごめんなさい。理由は言えないの。でも、みんなはわたしの『友達』だよ。……だから、そう思っていることだけはどうか、忘れないでいて欲しい」
「……何それ。そうなるのは、しばらくじゃないってこと? ずっとってこと?」
少し苛ついたように、ヒナタが聞いてくる。
「……わからないの。しばらくかもしれないし、もしかしたらずっとかもしれない。でも、生徒会室なら大丈夫だと思うから。……前の、カナデくんみたいだと思ってくれていいよ」
「じ、じゃああっちゃんと遊びにどこかへ出かけても、生徒会室じゃないと素になれないってこと……?」
「……そうなると思う。わたしも、みんなの前でもずっと素でいたいんだけど」
理由は言えないと言われたみんなは、それ以上葵に聞くことはなかったけれど、みんな不満そうな顔をしていた。



