すべてはあの花のために⑤


 他にもいろいろ決まったが、それはまた本番のお楽しみということで、今日の会議はこれにて終了。


「ごめんみんな! ちょっとだけわたしからいいかな!」


 会議が終わって帰りの支度をしている時、葵が声を上げる。


「またしばらく、みんなと一緒に帰ったりできそうになくて……」


 葵がそう言うと、みんなの視線が鋭くなる。


「どうしたんだ。また何かあったのか」


 心配そうなアキラには、「ううん。『何も』ないよ?」と答える。


「だったら、お家の人に何か言われた?」


 やさしい声で聞いてくれるカナデには、「ううん。『何も』言われてないよ?」と。


「じゃあなんで帰れねえのか、教えろ」


 容赦なく聞いてくるチカゼには、ため息をついて「……迎えが、来るからなんだ」と、少し息を詰まらせながら答えた。


「……そう。『何も』言われてないのに、迎えが来るのね」


 ツバサはそう聞いてはきてもそれ以上深くは聞いてこないから、「そう、だね」と、それだけ返す。
 結局のところ家が問い質してくることはなかった。それでも迎えに行かせるということは、『疑っている』と言われているようなものだから。


「あおいチャンが嫌なら、『おれらが送ります』ってお家の人に直接言うよ?」


 首を傾げながら、笑顔でアカネはそう言ってくるけど、瞳の奥では『そんなこと言ってくる親の顔が見てみたい』的な、ちょっと怒りがこもっているように見えた。


「ううんアカネくん。わたしも了承したから嫌ではないんだ」


 そんなの、嫌に決まってる。みんなと帰った方が楽しいし、素でいられる時間が増えるから。


「でもあーちゃん、なんだか苦しそうだよ……」


 やっぱり気をつけていても、彼には分かってしまうらしい。


「まあみんなとしばらく一緒に帰られないのは寂しいけど、ちょっとの間だけだからね。また一緒に帰られる日が来るのを楽しみにしておこうと思うよ!」


「でも」と、葵は要心して付け足す。


「帰られるようになっても、わたしは生徒会室を出たらみんなの前でも【仮面】を……みんなに会う前の、素じゃないわたしになるから。それだけはどうか、覚えておいて欲しい」


 案の定、みんなは驚きを隠せないでいた。


「ごめんなさい。理由は言えないの。でも、みんなはわたしの『友達』だよ。……だから、そう思っていることだけはどうか、忘れないでいて欲しい」

「……何それ。そうなるのは、しばらくじゃないってこと? ずっとってこと?」


 少し苛ついたように、ヒナタが聞いてくる。


「……わからないの。しばらくかもしれないし、もしかしたらずっとかもしれない。でも、生徒会室なら大丈夫だと思うから。……前の、カナデくんみたいだと思ってくれていいよ」

「じ、じゃああっちゃんと遊びにどこかへ出かけても、生徒会室じゃないと素になれないってこと……?」

「……そうなると思う。わたしも、みんなの前でもずっと素でいたいんだけど」


 理由は言えないと言われたみんなは、それ以上葵に聞くことはなかったけれど、みんな不満そうな顔をしていた。