「……そうですか。首里城は異国のような、そんな雰囲気がしますよね。伝統工芸は、何をお作りに?」
┌ ┐
これからは気をつけた方がいい
彼らと仲が良いことがバレたら
お前も彼らもただじゃ済まない
└ ┘
「……そこでは、Tシャツととんぼ玉のブレスレットを作ったの。シントにもお土産があるからあとで渡すわ?」
┌ ┐
うん。わかってる
わたしはどうなっても構わない
でもみんなやシントが
つらい目に遭うことだけは嫌なんだ
└ ┘
握り拳を作ると、今度こそシントが、自分の手を添えてにっこり笑う。
「……ありがとうございます。楽しみにしておきますね」
┌ ┐
ありがとう葵
でもそれは俺も同じ気持ちだ
お前に何かあったら
何が何でも俺はお前を守るよ
└ ┘
『葵のためなら、命を捨てたって構わない』
シントの気持ちは、十分に伝わってきた。
「(でも。そんなこと、絶対させてたまるかっ!)」
葵だって、ここで折れるわけにはいかない。
決めたんだから。自分の進むべき道が変わるんだって、思い続けることにしたんだ。
自分でできることからしようと。決めたのだから。
「……四日目は、平和記念資料館へ行って戦争について学んできたの。帰ったらレポートをまとめないと」
┌ ┐
そんなこと絶対にさせないから
シントはアキラくんのところへ
絶対に返してあげるからね
└ ┘
葵はシントの手を包み返して、小さく笑う。
「……左様で御座いますか。何かお手伝いできることがあれば仰ってくださいね」
┌ ┐
俺は葵のそばにいられれば
それで十分幸せだよ
俺はもう、葵なしじゃ生きていられない
└ ┘
「大丈夫よこれくらい。ちゃんと『覚えてる』もの。……そのあとは、世界のブランドが並ぶ街の通りへと赴いたわ。日本にいるはずなのに外国にいるような、そんな気持ちになったの」
┌ ┐
シント、理由はこれで終わり?
大事なこと、言ってないんじゃない?
└ ┘
シントの熱い視線も、葵は鋭い瞳でそう返す。
「沖縄には少し珍しいものばかりですからね。……海外へは行きたくても行けないお嬢様には、ちょうどよかったかもしれません」
┌ ┐
これは俺の推測だけど
『願い』がバレるのも時間の問題かも
└ ┘
「……ええ。とっても楽しかったわ。今日はそのギリギリまで。日本の最南端まで行ってきたの」
┌ ┐
それはわたしがこのまま
気をつけていなかったらの話でしょう?
それならバレないように気をつけるよ
└ ┘
「……そうですか。お天気の方は持ちましたか? 最南端となると、波が少し高かったのでは?」
┌ ┐
そうかもしれないけど怪しまれてる
学校でもみんなの前でも気をつけて
俺も、誰がバラしたのか探ってみるから
└ ┘
シントはそう言ってくるけど、葵は首を振る。
『そんな危険なことは、お願いだからしないで』
そう、意思を込めて。



