すべてはあの花のために⑤


「……そうですか。首里城は異国のような、そんな雰囲気がしますよね。伝統工芸は、何をお作りに?」

┌                  ┐
 これからは気をつけた方がいい

 彼らと仲が良いことがバレたら
 お前も彼らもただじゃ済まない
└                  ┘

「……そこでは、Tシャツととんぼ玉のブレスレットを作ったの。シントにもお土産があるからあとで渡すわ?」

┌                  ┐
 うん。わかってる

 わたしはどうなっても構わない
 でもみんなやシントが
 つらい目に遭うことだけは嫌なんだ
└                  ┘


 握り拳を作ると、今度こそシントが、自分の手を添えてにっこり笑う。


「……ありがとうございます。楽しみにしておきますね」

┌                  ┐
 ありがとう葵
 でもそれは俺も同じ気持ちだ

 お前に何かあったら
 何が何でも俺はお前を守るよ
└                  ┘


『葵のためなら、命を捨てたって構わない』

 シントの気持ちは、十分に伝わってきた。


「(でも。そんなこと、絶対させてたまるかっ!)」


 葵だって、ここで折れるわけにはいかない。
 決めたんだから。自分の進むべき道が変わるんだって、思い続けることにしたんだ。

 自分でできることからしようと。決めたのだから。


「……四日目は、平和記念資料館へ行って戦争について学んできたの。帰ったらレポートをまとめないと」

┌                  ┐
 そんなこと絶対にさせないから

 シントはアキラくんのところへ
 絶対に返してあげるからね
└                  ┘


 葵はシントの手を包み返して、小さく笑う。


「……左様で御座いますか。何かお手伝いできることがあれば仰ってくださいね」

┌                  ┐
 俺は葵のそばにいられれば
 それで十分幸せだよ

 俺はもう、葵なしじゃ生きていられない
└                  ┘

「大丈夫よこれくらい。ちゃんと『覚えてる』もの。……そのあとは、世界のブランドが並ぶ街の通りへと赴いたわ。日本にいるはずなのに外国にいるような、そんな気持ちになったの」

┌                  ┐
 シント、理由はこれで終わり?
 大事なこと、言ってないんじゃない?
└                  ┘


 シントの熱い視線も、葵は鋭い瞳でそう返す。


「沖縄には少し珍しいものばかりですからね。……海外へは行きたくても行けないお嬢様には、ちょうどよかったかもしれません」

┌                  ┐
 これは俺の推測だけど
 『願い』がバレるのも時間の問題かも
└                  ┘

「……ええ。とっても楽しかったわ。今日はそのギリギリまで。日本の最南端まで行ってきたの」

┌                  ┐
 それはわたしがこのまま
 気をつけていなかったらの話でしょう?

 それならバレないように気をつけるよ
└                  ┘

「……そうですか。お天気の方は持ちましたか? 最南端となると、波が少し高かったのでは?」

┌                  ┐
 そうかもしれないけど怪しまれてる

 学校でもみんなの前でも気をつけて
 俺も、誰がバラしたのか探ってみるから
└                  ┘


 シントはそう言ってくるけど、葵は首を振る。


『そんな危険なことは、お願いだからしないで』

 そう、意思を込めて。