すべてはあの花のために⑤


「……そうですか。まあ頭がよかったから仕掛けに気がついたのでしょう。他にはどのようなことを?」

┌                  ┐
 おっと、ごめんごめん
 それじゃあ二つ目

 お前らが親しい関係なのかって疑ってる
└                  ┘

「……二日目は、プラネタリウムとそこの文化館の展示を見て、植物公園で押し花を使った工作をして、夢の国のような世界でたくさんの綺麗な花を見たわ」

┌                  ┐
 ……そっか
 まあいつかはバレるんじゃないかって
 思ってたよ

 ……なら、これから少し気をつけないと
└                  ┘


 葵が少し俯いたせいで影が差し、表情がよりいっそう暗く見える。


「……そうなのですね。確かそういった施設へ行かれるのも初めてでしたよね? 押し花では何をお作りに?」

┌                  ┐
 悪い葵
 バレたのはお前のせいじゃない

 多分、俺のせいだ
└                  ┘


 シントは、いつもなら曲がる角を曲がらず、真っ直ぐ進んでいく。どうやら彼は、会話が終わるまで気がつかれないように遠回りしているようだ。


「……わたしは、スマホケースを作りましたの。ほら見てシント。とっても可愛く出来たと思わない?」

┌                  ┐
 どういうこと?
 シントが一体何ができるの?

 わたしの指示以外で家から出てないのに
└                  ┘

「……これは。とても可愛らしく出来たんですね。お嬢様にぴったりです」

┌                  ┐
 家政婦には言ってあったんだけど
 お前が修行に出た時だと思う

 ……俺がみんなを道明寺に呼んだから
└                  ┘

「……ありがとう。それから三日目は首里城に行って、伝統工芸の体験をして、お菓子工場の見学をして、真っ白で綺麗な灯台を見に行ったわ」

┌                  ┐
 でもシントが悪いわけじゃないよ?

 シントに何も言わずに出て行った
 みんなに心配を掛けてしまった
 わたしが悪いんだから
└                  ┘


 本を正せば葵が悪いのだ。初めから話をしていれば、シントがみんなを道明寺に呼ぶことも、みんなと友達だと勘づかれることもなかったのだから。