「よいしょっと。……ツバサくんおはよう。もう支度しないと、みんな待たせちゃうよ?」
「……あ、おい……?」
流石にもう起きないとみんなを待たせてしまうと思い、ベッドの端に腰掛ける。
「うんっおはよう! 急いで起きて? じゃないとまたみんなに怒られちゃうよ」
「え。あ……いまなんじ……いや。帰って支度か……」
「……大丈夫? まだ、ぼーっとしてる?」
「大丈夫。じゃ、また朝食の時に」
「う、うん。部屋まで帰れる? 送ろうか?」
亡霊のように、ふらふらと立ち上がるツバサを、部屋の扉まで見送りに行く。
「お前付いてきたら、俺ますますみんなにキレられるんだけど……」
「うん。そうなんだろうけど。……大丈夫? 熱とかない?」
少し苦しそうで、顔もどこか少しだけ赤いような気がした。
「いや。……別に熱とかはねえ」
「もし何かあったら言ってね。すぐに駆けつけるから」
「ん。ありがと。……それじゃあまたあとで」
「うん。気をつけて」
想像以上に、静かに扉が閉まる。だから、拒絶されたわけではないことはわかるけれど。
「……大丈夫かなツバサくん」
一体何があったのか。彼が、あんなにぼけーっとしてるなんて珍しい。
悩んでいると、葵のお腹から盛大な空腹の音が。「お、お腹が減って力が出ない~……」と、ベッドに倒れ込み、考えるのはやめてもう少しゆっくりしておくことにした。



