「……ちっ、違うの。ごめんなさい。わたしなんかと友達になってしまって本当にごめんなさい。全部わたしが悪いんだ。……わ。わかってる。ちゃんとわかってるから。……。もう。……っ、わかって。……るから……っ」
「えっ。ちょっと! どうしたのッ!」
葵が急に頭を押さえ、苦しみ始めたのだ。
「……やめてっ。もう。……わかってるから。……。だいじょうぶ。……そのこと、はっ。……わたしはちゃんとっ。わかって……っ」
「葵?! 葵!! しっかりしなさい葵ッ!」
「わかってます。ごめんなさい。……っ。お礼なんてっ、いりません。わたしはっ。みんなを。……っ。だってこれはっ。わたしが全て悪いのだから。わたしが全て。……招いた結果で……っ」
「葵!! こっちを見て! 葵ッ!!」
何度声を掛けても、葵は両手で頭を抱えたまま、ずっと何かと会話をしているようにぼそぼそ呟いていた。
「……っ、ごめん葵!」
このままじゃ切りがないと、ツバサは意を決し――パシン! と、強めに葵の頬を叩く。
呆然とする葵に、しっかりと目を合わせてもう一度声をかけた。
「……わかる? ここは? あんたの名前は?」
「……わたしは。あおい……」
「はあ。……ええそうよ。アンタ大丈夫?」
安堵したのは、ほんの一瞬に過ぎない。
「……わたしはあおい。わたしはあおい。わたしはあおい。あおいだけ。わたしが持ってる名前なんて。あおいだけ……」
「……葵?」
「……だってもう……。わたしにはもう……。だって。……太陽を、取られ――――」
「え。……あおい? 葵! 葵ッ!!」
ツバサの膝の上で、葵は気絶するように眠ってしまったのだから。
指先だけでなく、頬も冷たくしたままで……。



