「そしたらもう、アキからカナに、カナから茜に伝染したんだと思うわ。……なんか、殺気がしたから」
「な、なんだか申し訳ない。わたしが呼んだのに」
「アタシは別にいいの。アンタの話聞きに来たんだから。……それよりも、先に髪乾かしてあげるから座りなさい」
ツバサに背中を押され、葵はドレッサーの前に。
「え?! いいよ! 早く話さないと寝るのが遅くなっちゃう!」
「何言ってるの。髪は女の命なの。乾かさないとすぐ痛んじゃうんだから。いい子で待ってなさい」
それだけ言って、ツバサは髪を乾かす準備をし始める。
「……あれ? これでもうお礼の代わりでいいんじゃ……」
「こんなもんで礼になるか」
ばっさりと切り捨てられた葵は、ツバサに髪を乾かしてもらった。
「よし。完璧」
「うおー! トゥルントゥルンだ!」
さらさらと言うよりも、そう表現した方がいいくらい保湿たっぷり。まるで美容院に行ったみたいだ。
「ありがとうツバサくんっ」
「いいえ。どういたしまして」
そうして、今度は葵が、用意していたお茶でツバサをおもてなしする。
「カフェイン入ってないから大丈夫だと思う」
「ありがと。いただくわ」
「はーい。どうぞ」
それからゆっくり、葵は話し始めた。
「えっとね? 最近もつらいとか苦しいとか、そういうのはあったんだけど、キサちゃんとかユズちゃんにも聞いてもらったんだ」
「もしよかったら、どうして苦しんでたのか聞いてもいい?」
「えっと。……好きって気持ちに、押し潰されそうだったの」
「……押し潰される?」
「ツバサくんは、告白されたことってある?」
「あるよ」
即答に驚いたけれど、「そっか」と小さく笑って続きを話す。
「その、相手の気持ちがあまりにも温かいのと同時に、すごく、苦しくなってしまって」
そのことを思い出すように、葵は目を閉じる。



