転生したら不良と恋する恋愛小説の悪女でした。



まるで、好きな男の話をするときみたいな…

甘くて、小さな、囁くような声。




……ああ、じゃあ、これは夢か。




李和がそんな声で俺の名前を呼ぶわけない。




うっすらと、目を開けると、




(ーーーーーえ……?)




どういうわけか、




李和の顔が至近距離にあって。






甘い香りがふわっと鼻孔を擽る。




やわらかな髪が、俺の肌を滑る。







嘘だろ…目が覚めても夢とか、

そのパターンかよ。





つか何でこんなにリアルなんだよ…。

俺、欲求不満なのかな…。






でも、…どうせ夢なら…。






夢、なら。






細い非力な腕をグッと掴む。




その勢いで李和をベッドに押し倒し、その上に跨がった。





大きな猫目が、驚きで丸くなる。




陶器のように滑らかな白い肌…



健康的に色づく桃色の頬…



形のいい唇に、ベッドに広がる灰桜色の髪。







ぜんぶ。




ぜんぶ、欲しくてたまらない。