気づかなければよかった、と。
後悔したのは一度や二度じゃない。
その二年後に俺も中学生になり、やっと追い付いたと思ったら、李和はまた、先に高校生になって。
どんどんどんどん、綺麗になって、
李和が遠くなってしまう気がして。
焦った。
何もかもに焦って、早く追い付きたくて、だけど、…追い付いたところで境界線を越えてはいけないことはわかってて。
李和への想いは勘違いなんだって思いたかった。
どうしたって俺は弟で、あいつは姉で…。
消せない境界線は、出会った時からきっと引かれていて。
だから、女子に告白されたら付き合ってみたり、キスもその先もそれなりに経験したし、その子を好きになりたいとも思った。
……でも、
そんなのやっぱり、何の意味もなかった。
友達に押し付けられたエロ本もAVも、何も感じなくて。
もう多分、とっくに手遅れだったんだ。
