ちゃんとした家族になれるのか心配だったけど、それは杞憂に終わった。
お母さんは俺に対して実の息子のように接してくれたし、李和も李和であんな性格だから同じ家で暮らしはじめてもすぐに慣れた。
二人だけの、それも男しかいなかった生活に母親と姉が加わり、静かだった家庭は一気に賑やかになった。
だけどただ、ひとつ。
俺はそれまで一人っ子で、しかも年の近い女の子とろくに接したことなんて無かったし、李和はよく話しかけてきてくれたけど、…どうすればいいのかわからなくて。
李和にだけ、素っ気ない態度をとっていたと思う。
なのに、李和は気にする様子もなくしつこいくらいに毎日俺に話しかけた。
そんな李和に、俺も徐々に心を開いていった。
何度も何度も『お姉ちゃんって呼びなさい!』って怒られたけど、そういえば…一度も呼んでやったことなんてなかったな。
だってなんか、
嫌だったから。
