「…センスなさすぎじゃないの?」
黒豆のお腹を指先で擽りながら、和泉夕緋は呆れたようにそういった。
黒豆も気持ち良さそうにその腕のなかでゴロゴロ喉をならす。
昨日は私にあんなになついてくれたくせに、触ってくれれば誰でもいいのか君は…。
ちょっとだけ切なくなった。
なんてことを心の片隅で思いながら、頭は和泉夕緋の言葉を理解しようとフル活動している。
泣いてる女の子を慰めることもなく?
情緒不安定発言の次は?
黒豆の名前にセンスないだって?
……ダメだ。
突っ込みだしたらきりがないや。
彼が暴走族でもなんでもないただの生徒だったら思ったこと全部ぶちまけていたことだろう。
しかし、彼は残念ながら暴走族で、関わりたくない人種で。
だからもう……いいや。
ここは私が大人にならなきゃ。
『………………何なの?』
大人に……。
……………あらぁ?
