『彼氏?なんで?』
「最近お前、なんか変わったから」
『あー…』
なるほど。急に何を言い出すのかと思えばそういうことか。
そりゃ、前世の記憶を取り戻し、あのままだと破滅の一途を辿ってしまうという最悪の未来がわかってしまった以上、そうならないように最近は努力してるんだもん。変わってなきゃおかしいでしょ。
…っていっても、信じないだろうけど。
『いないわよ。』
姉にこんなこと言わせないでよね。
どうせバカにするんでしょ!早く平凡な彼氏つくってラブラブしてやるんだから!
別に争う必要なんてないのに、メラメラと闘争心がわいてきた。
「ほんとに?」
『嘘つかないし。』
「じゃあなんで変わったわけ?」
『大人になったって言って』
もー聞かないでよ。姉の恋愛事情なんて興味ないくせに。
もしかしてあれかな?
私がさっき何にも考えずにズケズケ聞きまくったからその仕返し?
って、いくらなんでもそこまで子供じゃないで……………いや。いやいやいや。こいつはやる。わすれるな李和。こいつはやる男だ。だってバカだから。
はぁ、と…
さっきの陽と同様に小さくため息をこぼし、チラッと横目でやつを確認する…
と、
ーーーーあれ?
……なにその顔。
どういうわけだか、陽はふにゃりと目を細め、どこか安堵したような表情を浮かべていた。
いつもの私をバカにするときの表情とは、全然ちがう。
…うーん、謎だ。
なんか変なもの食べたかな。
思春期だし。
思考はそこに落ち着き、もう気にするのを止めようと料理に意識を向ける。
「李和、」
こいつっ…
……人が集中しようとしたのにっ…!!
『なによ!!!』
「ブス」
よし。
こいつ三回殺そう。
このとき私は固く決意したのだった。
