陽に声をかけられ、ハッとする。
「炒めすぎ。」
横から伸びてきた手が、コンロの火を止めた。
『…あ、』
私、…知らず知らずのうちにぼんやりしてたのか。
なんてこと…。
そろっと横を見ると、首をかしげる陽と目が合う。
「どうした?料理中にぼーっとするなんて李和らしくない」
ちくしょう。
やっぱりめちゃくちゃ顔がいいから半裸でもその姿が様になるわ。
『考え事してた』
「なんの?」
『あんたが、…』
そこまで言って、口を閉じる。
あんたが、もしあの子を好きになったらどうしよう…なんて。
言ったところで、意味わかるわけないし。
別に私的には、陽が誰と、どんな子と付き合おうがどうでもいいのだ。陽がその子を好きでその子も陽を好きならば、姉として祝福するし応援もする。
けど、主人公だけはダメ。
だって、そんなことがあったら、あんたがあの子と関わりをもってしまったら。
姉である私だって自ずと…関わってしまうことになる(かもしれない)じゃない!!
弟の初恋(未定)より自分の未来をとる酷い姉でごめんっ…!
