頭もいいし、スポーツ万能だし、私の弟だし(?)。
性格以外ならどこをとっても完璧なのに。
なぜ彼女ができない。
料理に集中しようとしながらも、頭の片隅ではつい考えてしまう。
……ーーーーあ、もしかして…。
小説では、陽は主人公(少女)に一目惚れをすることになっている。
まさか、それが関係してるの…?
永井藍斗が、鳳凰が、彼女を愛したように…陽もいつか、彼女を愛するようになるの?
そんな、
そんなの。
『やだなぁ』
思わず、ぽつりと本音が漏れた。
だって、もしそうだったら…。
そうなってしまったら、私は…。
「何がいやなの」
