…あんなに俺達に猫なで声出していたやつが、いきなりああも変わるものなのか?
愁聖の憶測を聞いてもなお、疑念を抱く。
やはり、暫くは用心するに越したことはない。
俺達は勿論、何より美世のためにも。
ーーーーそう、思案した数日後。
今では鳳凰上層部専用となっている教室へと向かっている最中。
ドンッーーーー
『ぉあっ…!』
「、」
少しよそ見をしていれば、正面から歩いてきたやつとぶつかった。
灰桜が、視界の端ではらりと舞う。
そんな特徴的な髪色の持ち主、この学校で一人しかいない。
『あ、すいませんでし、』
…そいつは、慌てて顔を上げた。
瞬間、かち合う視線。
『た………』
色素の薄い、ライトブラウンの瞳が驚いたように見開かれた。
