ーーーガチャッ
下らないやりとりをしていれば扉が開かれ、そこから副総長の誉が顔を出す。
「押してだめなら引いてみろ、ってやつなんじゃないの?」
「何のことだ」
「今まであの子、藍斗に対してやたらグイグイきてたけど相手にしなかっただろ?だから次はそっけない態度とって藍斗の気を引こうって作戦なんじゃない?」
誉は黒縁の眼鏡を中指で押し上げ、愁聖や夕緋が座るソファーの、ローテーブルを挟んで向かい側にあるソファーに腰をおろす。
ああ、なんだそういうことか。
「だとしたら下らねぇな」
ため息混じりに落とした呟きは、心の底から呆れて出たものだった。
「俺があんな女、相手にするはずがない」
鼻で笑って吐き捨てる。
確かに天宮李和は目をひく綺麗な女だ。
灰桜色のふわふわとした髪に、少し目尻がつり上がった大きな目が印象的な美少女。
以前の俺なら、抱いてやるくらいはしたのかもしれない。
しかし、今はもうそういうことはしないと決めている。
なぜなら俺には…何よりも誰よりも愛したい女がいるから。
「…誉、美世は暁彦といるのか」
「ん?そう。もう少しで帰ってくるよ」
「そうか…」
早く。
早くこの両手で、抱き締めたい。
あいつのことを想えば、無意識に上がる口角。
「美世は俺の光だ」
誰に言うでもなく、小さくぽつりと呟いた。
下らないやりとりをしていれば扉が開かれ、そこから副総長の誉が顔を出す。
「押してだめなら引いてみろ、ってやつなんじゃないの?」
「何のことだ」
「今まであの子、藍斗に対してやたらグイグイきてたけど相手にしなかっただろ?だから次はそっけない態度とって藍斗の気を引こうって作戦なんじゃない?」
誉は黒縁の眼鏡を中指で押し上げ、愁聖や夕緋が座るソファーの、ローテーブルを挟んで向かい側にあるソファーに腰をおろす。
ああ、なんだそういうことか。
「だとしたら下らねぇな」
ため息混じりに落とした呟きは、心の底から呆れて出たものだった。
「俺があんな女、相手にするはずがない」
鼻で笑って吐き捨てる。
確かに天宮李和は目をひく綺麗な女だ。
灰桜色のふわふわとした髪に、少し目尻がつり上がった大きな目が印象的な美少女。
以前の俺なら、抱いてやるくらいはしたのかもしれない。
しかし、今はもうそういうことはしないと決めている。
なぜなら俺には…何よりも誰よりも愛したい女がいるから。
「…誉、美世は暁彦といるのか」
「ん?そう。もう少しで帰ってくるよ」
「そうか…」
早く。
早くこの両手で、抱き締めたい。
あいつのことを想えば、無意識に上がる口角。
「美世は俺の光だ」
誰に言うでもなく、小さくぽつりと呟いた。
