とはいえ、問題はそこじゃない。
恋そのものはなんてことない。
問題は、私が永井藍斗(昨日まで藍斗くんって呼んでた)のことが好きすぎてグイグイアタックしまくったり、彼に近づこうとする女に睨みきかせてたり、永井藍斗だけじゃなくその周りのイケメン不良達に媚売ったりしてたってこと。
だいぶヤバいやつじゃねぇか。
ていうか確かに永井藍斗顔は最高にかっこいいけど、めっちゃ俺様じゃん。冷静に考えたらモラハラ男って感じするし。私よくあの人好きになれたね…。
いや、顔しか見てなかったからか。
しかし、不幸中の幸いというべきか否か。
現時点では私、天宮李和はあの小説の主人公に特にこれといった嫌がらせはしていない。
だからまだ、私は彼らにハッキリとは敵視されていないだろう。…うざがられてはいるんだろうけど。
彼らが私を敵とみなしはじめるのは、確か小説では…。
『…今日だ』
そう、あれはたしか悪女の誕生日におこった出来事。
悪女、天宮李和は自分の誕生日に、あろうことか主人公を体育館裏なんてベタな所に呼び出し、取り巻きと共に『ブス!』とか『調子にのるなよ!』だとか何とか頭の悪い罵詈雑言を浴びせるのだけど、そこに颯爽と鳳凰が現れ主人公を庇い、それから悪女を完全に敵視するようになるのだ。
でも悪女はそれに懲りずに少女にこそこそと嫌がらせするんだけど。
……………うん?
あれ、やっぱり私思い出してよかったのかもしれない。
だって知らなかったらまた同じこと起きてたかもしれないでしょ?
てか何で悪女は態々自分の誕生日にリンチ紛いのことをしようと思ったんだろう。
…ああそっか、誕生日で浮かれてて永井藍斗にベタベタ甘えようとしたら「触るな」とか言われてカッとなったんだっけ。
そりゃ好きでもない女にベタベタされたら怒るわよね。
