「ま、オレはそんなこと知ったこっちゃないし面白くないんで、修行の様子を覗き見しに行こうと思ってますけど」
「――! やっぱり知ってるの?!」
シントに続いて、みんなも身を乗り出した。
「シントさん。あいつ、お金とかそんなに持って行ってないですよね」
「だから! 日向くんはその場所を知ってるの?!」
「今の主導権はオレにありますけど」
苦虫を噛み潰したように、悔しさで顔を歪ませたシントは、押し入れから葵の貯金箱を取り出してくる。
「え」
シントが持ってきたのは、レ〇レのおじさんの貯金箱。どこから入れるのかと思ったら、口かららしい。
シントは秤を持ってきて、箒を持ったおじさんの体重を量る。
「……うん、減ってないね。寧ろお小遣いもらったから増えてる」
「(趣味を疑うけど。しかもなんでそこまで覚えてんだこの人)だったら、あいつはそんなにお金を持ってないから、四日泊まるとなると場所も限られてくる」
「そうだね。葵はクレジットカードも作れないし」
ヒナタは、一瞬だけ目を細めた。
「……だから、あいつはちゃんと『オレらの友人の家』に泊まってるってこと」
「え。……日向、それって――」
その時、まるでタイミングを計っていたかのようにヒナタのスマホに通知が届く。彼はスマホの画面を見て、すごく嫌そうな顔をした。
「はあ。それじゃあみなさん、『あれ』を使いましょうか」
「あいつもきっと『あれ』使って行ってるんだろうし……みんなも行きたいんでしょ?」とヒナタの問いかけに、わかってしまったみんなは大きく頷いた。シントだけはよくわかってなかったけど、「頼むね~」と後を任すことに。
「……さて。それじゃあ行きますか」
ヒナタはため息をついたあと、みんなにその画面を見せる。みんなは「はああ?!」と、キサは「あらまー!」と叫んだ。
そこに写っていたのはある写真。
一人は葵。もう一人は……もちろん、あの人である。



