すべてはあの花のために④


「……シントさん。あいつの服と下着、何日分ぐらいなくなってるかわかりますか」

「え? 多分四、五日分かな?」


「(だからなんでわかるの?!)」と、次はシンクロしたみんなだったけれど。


「そうですか」


 そう答えたヒナタは、また考え始めた。

「ど、どうしたの日向?」「何かわかったのか」と、僅かな期待を込めるキサとアキラ。対して「つってもよー。それだけで何がわかるんだよ」と、期待ゼロで少し口を尖らせているチカゼ。


「アンタ、日向舐めてるとあとで後悔するわよ」

「え? それはいっつもだし」


 そのあとツバサが耳打ちした内容に、チカゼの顔が真っ青になったのは、きっと誰も知らない。


「あと、そのプリザーブドフラワー? 作れるんですよね。どれくらいで?」

「え? ¥4,649だけど?」

「違います時間です」

「(ボケが通じない……)元が白いから脱色はしなくていいとは思うんだけど、どうせなら綺麗に作りたいから、それだけで四、五日はかかるかな。そのあと室内で乾かすのに、完全に乾くのは大体二週間くらいと読んでいる!」


 どや顔のシントに「そうですか」と単調に返してまた考え込むヒナタ。


「ねえアキ。彼は俺を完全にスルーするんだけど」

「日向は大抵ドライだ」

「それにしても、わざとかと思うくらいなんだけど」

「それは天然物だからだ」

「わけわかんないから」

「俺も言っててわからない」


 そんな兄弟の会話を、みんなは微笑ましく目を細めていた。