「もう最悪ッ!! なんでいつの間に撮ってんの?! 意味わかんないんだけど!!」
堪らずシントは、ぽ~いっとスマホをソファーへ投げ捨てた。ちなみにポージングは、セクシーに足上げてタイツを脱いでいたやつである。
いつの間に取り返していたのか、実は連射で撮ってた葵。でもそれに気づかないシント。いずれ【シント♡メイドに大変身!】という題で、アルバムに収まることでしょう。
「はあ。はあ」
疲れ果てて、息も絶え絶え。
でもあともう一通あったので、シントはそっちにも目を通したのだが……そのあとその紙は、思い切りぐちゃぐちゃに握り潰された。
「意味わっかんない……」
ため息をついたシントは、一先ずあるアドレスへ一通連絡を入れる。
「気づいた時にあっちから連絡が来るでしょう……」
シントはスマホの画面を落とし、その場にしゃがみ込む。
「道明寺じゃなくて、葵の仕事なら万々歳だけどさ。……ここから出られないのはつらい」
彼女はいないのに、仄かに香る甘い香りが、どうしても君を彷彿とさせて……。
「……こ、こほん」
若干顔を赤らめながら、彼は葵が持っていった物を確認した。
「制服を置いて行ってるってことは、学校には行ってない。財布はもちろんない。スマホも。服も何着か。化粧品は……ああ、あれ隠さないといけないしね。それから……しなきゃいけないものは持って行ってるようだから大丈夫か。あとは、……やっぱり大切なものなんじゃん」
クローゼットと引き出しを確認して、シントは項垂れた。
「……っ、あおい~……。どこ行ったんだよお~……」
シントはスマホを握り締めながら、取り敢えずプリザーブドフラワーのキットの取り寄せようと、葵の部屋のパソコンを起ち上げたのだった。



