「それにしても、ほんとどうすっかな。ずっと炊きっぱだし、俺が頑張ってあれを止めない限り、俺はアロマが切れるまでずっと怠いまま――」
――その時、アロマがカチッと音を立てて切れた。
「葵の奴、まさかセットしてくれてたわけ? まあそれでも半日以上経ってるけど」
どうして切れたのだろうか。切れたということは、別に疚しいことはないのだろうか。
「……ちょっとした優しさとかにきゅんと来る俺は異常ですかね」
縛られていても顔を赤らめながらそんなこと思えるシントは、己の気付かないところでドMの道どころかド変態まっしぐらなわけですが。当の本人はというと、ちょっとだけ開けられていた窓と部屋の扉に、葵のやさしさを噛み締めておりました。
そしてしばらくして、ようやく体が動かせるようになったシントは脱出に挑戦。ベッドから出られた時には、10時近くなっていた。
「はあ。まあまだちょっと怠いけど……」
葵に何があったのか。慌ててスマホを確認する。すると、9時頃に一通の連絡が入っていた。
┌ ┐
件名
:おっはよ~ん♡
本文
:そろそろお目覚めかな~?
おはようシント☀
もしかしたらだいぶ前から
起きてたかな?
でも恐らく!
脱出できたのはさっきであろう!
ふぁっふぁっふぁ!
オメデトー!\(^O^)/
わたしは今、家を出ています!
詳しくは置き手紙を見てね♡
家には
『生徒会の方の友人の家に泊まります』
って言ってあるから
シントは心配しなくても大丈夫だよ!
それじゃ! お仕事頑張ってね☆
あおい
└ ┘
「――チッ」
シントは早速問題児に電話をかけた。
『……只今電波の届かないところにいるか、電源が入っていないか、修行中のため電話に出ることできませ――――』
「修行って何!?」
シントのイライラは募っていくばかり。
「取り敢えず、置き手紙……だっけ?」
どこにあるのかと見渡すと、すぐに机の上に置いてある紙を見つけた。
机の上には一輪挿しが移動しており、その花瓶の下に一枚と、その横にもう一枚。
【シントへ☆】
この☆がイライラを募らせているのが、葵にはわかってないのかわざとなのかは知らないが、取り敢えず花瓶の方を先に読むことに。



