すべてはあの花のために④


「それにしても、ほんとどうすっかな。ずっと炊きっぱだし、俺が頑張ってあれを止めない限り、俺はアロマが切れるまでずっと怠いまま――」


 ――その時、アロマがカチッと音を立てて切れた。


「葵の奴、まさかセットしてくれてたわけ? まあそれでも半日以上経ってるけど」


 どうして切れたのだろうか。切れたということは、別に疚しいことはないのだろうか。


「……ちょっとした優しさとかにきゅんと来る俺は異常ですかね」


 縛られていても顔を赤らめながらそんなこと思えるシントは、己の気付かないところでドMの道どころかド変態まっしぐらなわけですが。当の本人はというと、ちょっとだけ開けられていた窓と部屋の扉に、葵のやさしさを噛み締めておりました。

 そしてしばらくして、ようやく体が動かせるようになったシントは脱出に挑戦。ベッドから出られた時には、10時近くなっていた。


「はあ。まあまだちょっと怠いけど……」


 葵に何があったのか。慌ててスマホを確認する。すると、9時頃に一通の連絡が入っていた。



┌                  ┐

 件名
 :おっはよ~ん♡


 本文
 :そろそろお目覚めかな~?
  おはようシント☀

  もしかしたらだいぶ前から
  起きてたかな?

  でも恐らく!
  脱出できたのはさっきであろう!

  ふぁっふぁっふぁ!
  オメデトー!\(^O^)/

  わたしは今、家を出ています!
  詳しくは置き手紙を見てね♡

  家には
 『生徒会の方の友人の家に泊まります』
  って言ってあるから
  シントは心配しなくても大丈夫だよ!

  それじゃ! お仕事頑張ってね☆


               あおい

└                  ┘



「――チッ」


 シントは早速問題児に電話をかけた。


『……只今電波の届かないところにいるか、電源が入っていないか、修行中のため電話に出ることできませ――――』

「修行って何!?」


 シントのイライラは募っていくばかり。


「取り敢えず、置き手紙……だっけ?」


 どこにあるのかと見渡すと、すぐに机の上に置いてある紙を見つけた。
 机の上には一輪挿しが移動しており、その花瓶の下に一枚と、その横にもう一枚。


【シントへ☆】


 この☆がイライラを募らせているのが、葵にはわかってないのかわざとなのかは知らないが、取り敢えず花瓶の方を先に読むことに。