そのあと、やっぱり途中でうとうとしそうになったけれど、何とか作業は終了。時計を見ると、時刻は15時になっていた。
「(……みんな、あの後学校に行ったのかな)」
「葵? おやつ持ってきたけどいる?」
「あ。うん。シントも食べよー」
流石に個装のものには仕込めないからね。ただの馬鹿と思うなかれ。フフフ。
でもきっと、飲んでたお茶に入れていたのだろう。結局のところお馬鹿な葵は、本格的に眠くなってきた。
只今17時。殆ど作業は終えていたし、シントにもお礼しなくちゃいけなかったので「しんと~……」と、呼んで手を広げ、ベッドへ連れて行ってもらうことに。
「眠たくなってきた~……」
「はいはい。それじゃあベッドに行きましょうかね」
シントは軽々と葵を抱えてベッドへ。
葵をベッドに下ろしたら、何故かシントは無言になってしまった。
「ど、どうしたのシント」
「……ああああ~! すっごい罪悪感!」
そして最終的に飛びついて来られ、もちろん葵は「ぐへっ!」と下敷きに。
「な、何があったんだい……」
「どうせ葵も気づいてるんでしょう? ご主人のこと信じないとか、俺は最低執事だ……っ」
きっと、眠り薬のことを言っているのだろう。
「わたしのことを思ってしてくれたことでしょう? だからシントは最高執事さんだ!」
葵はシントに抱きついて、胸のところでスリスリ。
「ちょっ?! へ、……変な気起こすからやめて」
「わかった。シントがそう言うなら」
そう言って離れようとしたけれど「や、やっぱりだめ!」と、シントは再び葵を自分の腕の中に閉じ込める。
「ふふ。素直じゃないね?」
「ほんと、何もしないって決めてるのに……」
彼の鼓動は、とくとくと少し早い。
「シントさんや。あなたは何を緊張しているんだい」
「そりゃ好きな子抱いてて、手出さない方がおかしいでしょ。それと戦ってるんだよ」
「いや、なんか返しがおかしい……」
「だって葵好きなんだもんっ。こんなこと夢みたいで、どうにかなっちゃいそうなんだけど」
「うん。今日限りだけどね」
「うん。なんか落ち着いた。アリガト」
彼の目は死んでいた。
いいような、悪いような。



