その足でバスルームへ来たシントは、無心になって湯を張った浴槽に乳白色の入浴剤を入れる。
「(……もうちょっとか)」
入れた。これでもかと言うほど入れた。
「(うん。これなら見えな――)はっ! 俺は一体何を⁉︎」
思考回路がおかしなことになっていたが、何とか自力修正できてほっと一息――。
「(おおおお俺、気持ち悪過ぎ?!)」
一息吐いたように見せた表情は至って平常心だが、心の中では途轍もなく動揺していた。目の前で起こっている現実に、余裕のない心臓が早鐘を打ち始める。
「(……ううん。絶対葵は、何か考えてるんだ。じゃないとあんなこと言わないもん)」
わかっていても、勝手に期待に手が震えてしまう。
彼女に触れられるだけで、泣きそうなくらい。胸が締め付けられそうなくらい苦しいくせに、嬉しいのだ。心底。
ゆっくりと心を落ち着かせようと呼吸を繰り返す。けれど、とくとく鳴る心臓は一向に治まらなかった。
「(しょうがないじゃん。愛おしくて、仕方がないんだから……っ)」
そんな自分と葛藤しながら、取り敢えず葵の部屋へと戻る。
「(……でも本人見たらちょっと落ち着くの、なんでなんだろ)」
葵は必死に用事を済ませようとしていた。
集中している彼女の邪魔しないよう、しんと静まり返った中ベッドメイキングをしようと試みる。しかし主人の変態さが遷ったのか、シーツが擦れる音だけで妄想の大冒険が止まらない。
一人顔を真っ赤にしたシントは、胸を押さえながら、取り敢えずベッドに腰をかけることに。
「うわあ?!?!」
ただギシっと鳴ったベッドに、また妄想が独りでに暴走し始める。もう変な想像したくないのに!



