すべてはあの花のために④


「……なあ。さっき俺はどんな顔をしていた」


 その頃。アキラは俯きながら二人に尋ねていた。


「……どんなって。アンタ……」

「あきクン、困惑してたような感じだったよ」

「……そう、か……」


 アキラは顔を上げ、窓の外を見つめる。


「……その俺の顔が、葵には『気持ち悪いものを見てる顔』に見えたらしいんだ」

「えっ?」

「それって……」

「葵は、『わたしのことをそんな目で見てるでしょ』って、言ったんだっ」


 アキラは、握り込んだ拳を悔しさに顔を歪めながら額に寄せる。軽く自分を殴るように。


「神に誓ってそんな顔はしていない。なのに俺の顔が、葵にそう見えたってことは……だッ」


 それからは何も言えなかった。
 これ以上は、彼女に近づくことだから。


「(……葵にとっては、さっきみたいなことが【気持ち悪い】ってことだ)」


 途中で話すのを止めたアキラに察した二人は、そっと宥めるように肩に触れる。


「大丈夫よアキ」

「あおいチャンが落ち着いたら、大きな声出させちゃってごめんねって。話しに行こう?」


 気遣ってくれる二人に、絞り出すような声で「……ありがとう」と、心の底から感謝した。