「……今のは、一体どういう……」
「……ん……」
「……葵?」
アキラにもたれかかっていた葵は、ゆっくりと起き上がる。体が痛むのか、肩や首を回しながら、まだぼうっとしている状態で辺りを見回していた。
「……あれ? ここは……」
「……ここは桜李の家だ。昨日はここに泊まっただろう」
アキラはしっかりと葵の様子を見ながら、先程と同じように答えた。
「いや、うん。そうなんだけど……え。わたし、寝ちゃったの?」
状況が掴めたのか、葵の顔色が徐々に悪くなる。
「ああ。圭撫が寝かせた。顔色が悪いのに、震えている理由を言わないお前を」
「――?!」
大きく体を揺らした葵が、また何かに怯えるように震えだす。
「葵……」
「こっ、来ないでっ!」
アキラは葵に手を伸ばそうとしたが、その手は強く叩かれて力なく垂れる。けれど、叩かれたアキラよりも、葵の方が痛みに耐えるような顔をしていて。
「……なんで。そんな顔、してるの」
「……そんな、顔って……?」
自分の腕に爪を立てながら。震えながら。それを抑えながら。葵は泣き叫んだ。



