すべてはあの花のために④


「……今のは、一体どういう……」

「……ん……」

「……葵?」


 アキラにもたれかかっていた葵は、ゆっくりと起き上がる。体が痛むのか、肩や首を回しながら、まだぼうっとしている状態で辺りを見回していた。


「……あれ? ここは……」

「……ここは桜李の家だ。昨日はここに泊まっただろう」


 アキラはしっかりと葵の様子を見ながら、先程と同じように答えた。


「いや、うん。そうなんだけど……え。わたし、寝ちゃったの?」


 状況が掴めたのか、葵の顔色が徐々に悪くなる。


「ああ。圭撫が寝かせた。顔色が悪いのに、震えている理由を言わないお前を」

「――?!」


 大きく体を揺らした葵が、また何かに怯えるように震えだす。


「葵……」

「こっ、来ないでっ!」


 アキラは葵に手を伸ばそうとしたが、その手は強く叩かれて力なく垂れる。けれど、叩かれたアキラよりも、葵の方が痛みに耐えるような顔をしていて。



「……なんで。そんな顔、してるの」

「……そんな、顔って……?」


 自分の腕に爪を立てながら。震えながら。それを抑えながら。葵は泣き叫んだ。