すべてはあの花のために④


 みんなはすっと目を細めた。


「圭撫。葵の手は」

「ちゃんとあったかかったよ」

「え? ど、どういうこと?」


 一人状況がわかってないキサの肩に、「あとで話すよ」とヒナタがぽんと触れる。


「……そういえばアンタたち、入ってきてからなんか揉めてたわよね」

「揉めるってほどじゃないんだけど。無理矢理にでも寝させようと思って手を掴んだら、異常なほど震えてたんだ。あれは、……怯えてたんだと思う」

「……あおいチャン、何に怯えてたの」

「もちろん聞いたよ。言ったら部屋を出てもいいよって。……でも、頑なに言わなかった。一生懸命、震えを止めようとしてた」


 カナデの言葉に、アキラとアカネ、そしてツバサが視線を交わした。


「葵が言いたくなかったのなら、この話はするべきじゃないな」

「そうね。アタシもそう思うわ」

「ひとまず、あおいチャンが寝られてよかったね」


 この話はこれでおしまいだと、いきなり三人は立ち上がって朝食の準備を始める。残された五人はそんな三人を見て、怪訝な顔や難しい顔をしていた。


「(アオイちゃん……)」


 カナデはじっと、彼女が今も眠っている部屋の扉を、心配そうに見つめていた。