「あれ? もういいの?」
「(こくり!)」
そして、葵を後ろからぎゅーっと抱き締め、顎を肩に乗せた。
「(な、なんだ!? オウリくんは後ろがお好きですな?)」
そう思いつつ、通話中になっている彼に声をかける。すると電話の向こう側にいるシントは、何故か唸っていた。
「え。どうしたの」
『だって桜李くん。最後思いっ切り鳴らすんだもん。めっちゃ耳キーン』
オウリも聞こえたのか、申し訳なさそうな顔で葵を覗いた。
「オウリくん『ごめん』ってー」
『いや、俺がそうしろって言ったからいいんだけど……』
小さく咳払いをしたシントが仕切り直す。
『迎え、何時に行けばいい?』
「え!? 切るの?!」
『桜李くんが付いててくれるって』
「ううぅ~……」
『何。嫌なの?』
「……シント」
『うん?』
「襲わないでいられる保証はないよ」
『頼むからやめて』
何故か抱き付いているオウリも、うんうんと頷いていた。



