4月〇日
おれらは、中学の頃からしていた見回りを引き続いてしていました。
でも、どうして西の治安が悪くなっているのか原因はわからなかったので、おれが囮になって、不良たちにわざと絡まれて情報を聞き出そうとしました。
何かあってはいけないからと、みんなはおれの様子を見守っていました。
そんな心配はしなくていいのにと思っていると、とってもきれいで美人な女の子が、おれを助けてくれました。
その子はとっても強かった。
きっと、おれなんかよりもよっぽど。
変な技名を言いながら変な技を使っていたけど、流れるようなその子の動きに、おれはずっと見惚れていました。
そんな女の子を見て、戦ってみたいと思うと同時に、友達になってみたいと思いました。
自分からそう思えたのは初めてで不安を感じていると、その子がおれに何かくれました。
怖くなって、反射的に防犯ブザーは投げ飛ばしてしまいましたが、あとから急いで探しに行きました。でももう見つかりませんでした。
折角その子からもらったのに、とっても残念でした。
でも、あれは使ってしまうと、人が寄ってこないと思います。
あ。でも、悪いことをしようとしている人も離れていくと考えると、ちゃんと防犯になってるのかな?
でも、自分の方が捕まってしまいそうだと思いました。
それからみんなで、彼女の華麗な動画を見て笑ったあと、みんなで動画を保存しました。
みんなと別れたあと、やっぱりその子と友達になりたかったおれは、みーくんのところへ行きました。
みーくんは、こんな遅くにどうしたのかと驚いていました。
でもおれが、彼女の動画を見せて、その子と友達になりたいんだと相談すると、嬉しそうに笑ってくれました。
その子は一個上で、道明寺 葵さんという人でした。
その時みーくんから、今年度の新生徒会の話を聞きました。
選ばれたのは、中学の時のベストメンバーでした。
おれと友達の人ばかりで、みーくんが何かしたのかなと思ったけれど、本当に票を集めちゃってたみたいです。
その中に、その子がいました。
みーくんは、おれに言いました。
「この子はもしかしたら、生徒会を辞退するかもしれない。でもきっと、この子もお前らと友達になれたら嬉しいと思うから、絶対に離れちゃ駄目だぞ」
おれも友達になれたら嬉しかったので、みーくんと、絶対に生徒会に入ってもらおうねと、約束しました。



