「とまあそういうわけで、今はお母さんとも話せるようになったんだよー」


 みんなの不安そうな視線を一心に向けられても、それを知らん振りして笑顔で話せるオウリは、やっぱり強くなった。もう、何も心配しなくていいほどに。


「おじさんとも一緒に暮らすんだね。よかったね桜李!」

「うん! ありがときーちゃんっ」


 なんだかんだあまりオウリから名前は呼ばれずに来ていたみんなは、何と呼ばれてるかを手紙で知り、それぞれいろんな表情を浮かべていた。


「(取り敢えず今後猫を飼う機会があれば、わたしも『ちーちゃん』と呼ぼう)」



 それから、みんなはいろいろな話をしていた。話せないオウリのために、みんなもいろいろ工夫していたようだ。
 そのことを初めて知ったオウリは、嬉しそうに頬を緩ませた。目元には涙も。


「それとー、おれも本気だからよろしくー!」

「……え」


 そして、完全に隙を突かれた葵のほっぺたに、ちゅっと一発。


「もういいだろ」

「……?! な、何やってんのおー!」


 やんややんやとみんなが暴れている隙に、我慢の限界だったキクもキサに一発。真っ赤になって照れたキサに、やっぱり殴られていたけれど。

 なんだか、今回はこんなのばっかり。まあそれだけ仲がいいってことで。