そのあと病室に戻ってみると、何故だか二人してニヤニヤ。
「(いやいや……え。まさかね?)」
そのニヤニヤが落ち着いて話を聞くと、どうやら先程担当医から「もう少し様子を見て、大丈夫そうなら退院できるでしょう」と言われたそう。
「よかったですね。カリンさん、エンジュさん」
「ありがとう。あなたのおかげよ。わたしは元通り強くなれたもの」
「元から強かったあなたが自力で。そして、ここまで心を治してくれた、エンジュさんのおかげですよ」
三人は、それでも「ありがとう」と言ってくれた。
それから葵は、ヒエンに家の近くまで送ってもらうことに。オウリはヒエンが帰ってくるまで、カリンとたくさん話をするそうだ。
「ヒエンさん。本当に、今回はお疲れ様でした」
「いやいや、お嬢ちゃんの方が疲れただろ。手、すっごい冷たかったぞ」
やっぱり気づきますよねー。
「これはもう体質なので。お気になさらず」
返答が気に食わなかったのか、ヒエンは眉を顰めていたけれど。
「お嬢ちゃん。あんた、一体何者だ」
家の近くで停めてもらい、降りようとしたところでヒエンから声が掛かる。
「……わたしは、ただの『あおい』ですよ」
「オウの奴が入れ込んでるなら、ちゃんとそいつのことを見定める必要がある」
「(やっぱり見とったんかい)」
小さくため息をついた葵は、ヒエンをじっと見つめ返す。
「ヒエンさん。わたしがオウリくんを傷つけることは、決してありません」
少しでも彼に、伝わるようにと。
けれど、やっぱり返答が気に食わなかったのか。ヒエンは眉を顰めた。



