すべてはあの花のために④


 そのあと病室に戻ってみると、何故だか二人してニヤニヤ。


「(いやいや……え。まさかね?)」


 そのニヤニヤが落ち着いて話を聞くと、どうやら先程担当医から「もう少し様子を見て、大丈夫そうなら退院できるでしょう」と言われたそう。


「よかったですね。カリンさん、エンジュさん」

「ありがとう。あなたのおかげよ。わたしは元通り強くなれたもの」

「元から強かったあなたが自力で。そして、ここまで心を治してくれた、エンジュさんのおかげですよ」


 三人は、それでも「ありがとう」と言ってくれた。


 それから葵は、ヒエンに家の近くまで送ってもらうことに。オウリはヒエンが帰ってくるまで、カリンとたくさん話をするそうだ。


「ヒエンさん。本当に、今回はお疲れ様でした」

「いやいや、お嬢ちゃんの方が疲れただろ。手、すっごい冷たかったぞ」


 やっぱり気づきますよねー。


「これはもう体質(、、)なので。お気になさらず」


 返答が気に食わなかったのか、ヒエンは眉を顰めていたけれど。



「お嬢ちゃん。あんた、一体何者だ」


 家の近くで停めてもらい、降りようとしたところでヒエンから声が掛かる。


「……わたしは、ただの『あおい』ですよ」

「オウの奴が入れ込んでるなら、ちゃんとそいつのことを見定める必要がある」

「(やっぱり見とったんかい)」


 小さくため息をついた葵は、ヒエンをじっと見つめ返す。


「ヒエンさん。わたし(、、、)がオウリくんを傷つけることは、決してありません」


 少しでも彼に、伝わるようにと。
 けれど、やっぱり返答が気に食わなかったのか。ヒエンは眉を顰めた。