真剣な顔で向き合ったオウリは、冷たくなくなった手をぎゅっと握る。
「お、おうりく」
「あーちゃん。絶対にこれは、おれが声を取り戻したらすぐに言おうと思ってたことだから聞いて」
あまりにも真剣な顔に葵はたじろぐ。
でも逃がすまいと、オウリの片手が葵の頬に伸びてくる。びくりと肩が震えた。
真っ暗な病院の受付には誰もおらず、聞こえるのは二人の息づかいだけ。
ゆっくりと視線が絡む。
彼からはもう、目が離せない。
「おれはあの日。あーちゃんに助けてもらったあの日から、あーちゃんから目が離せませんでした」
「おうりっ、ん」
オウリの人差し指が唇に触れて、もう、逃げられない。
「初めは、この気持ちが何かわからなかった。でも、自分の胸が温かくって、あーちゃんを見るだけで嬉しくなったり、苦しくなったりしたんだ」
オウリはもう片方の手で葵の手をそっと掴んで、自分の胸に当てる。
「……初めは、とってもきれいな子で、とっても強いあーちゃんに、惹かれたんだ。でも、それだけじゃなかった。とっても素敵で、よく周りが見えてて、よく気がついて、人のために一生懸命で。……本当に、格好よくって」
手紙では伝えきれなかった思いを、彼は今、自分の声で伝えてくれていた。
「おれは、あーちゃんの笑顔が、大好きなんだ。おれの心は、あーちゃんでいっぱいなんだっ。あーちゃんの心も、……おれでいっぱいにして欲しいんだっ」
「おっ、おうりくっ」
両腕が葵の首に回り、ぐいっと引き寄せられる。
「おれは、あーちゃんが好きで好きでしょうがないんだ。それはきっと、初めて会った時から」
そして耳元で、囁かれた。



