そして次の日。
 お父さんは、リビングの机に伏せるように冷たくなって、寝ていました。

 机の上には空になった大量の薬の箱と、水が少し残ったコップがありました。

 おれは、お母さんの大きな声で目が覚めました。
 冷たくなって、動かなくなって、あの温かい声も、笑顔も見られなくなったお父さんを見て、おれはしばらく動けませんでした。


 お母さんも、ただただ泣いていた時、ちょうどおじさんが家に来てくれました。


 それからは、よく覚えていません。
 また家に警察の人が来たり、まわりには野次馬が来たり。

 あっという間にお父さんの葬式が終わって、家にはおれとお母さんの二人ぼっちになりました。
 しばらくお母さんは放心状態になっていましたが、また働きに出るようになりました。


 お母さんは、家に一人で残るおれに、いつも出かける時は笑顔で「行ってきます!」と言って声を掛けてくれました。

 おれは、そんなお母さんの帰りを、いつも笑顔で出迎えました。
 でもお母さんは一人になった時、ずっと苦しそうな顔をしていました。



 そんな生活が続いて、少し経った頃、突然お母さんが吐きました。
 お母さんのお腹の中に、赤ちゃんがいたのです。

 そのことをおれに報告してくれたお母さんは本当に嬉しそうで、多分死んだお父さんのことを思い出していたんだと思います。

 おれも、自分に弟か妹ができるんだって、すごく嬉しかった。



 でも、お母さんは流産してしまいました。
 精神的なものだと、お医者さんは言っていました。

 それからお母さんは、塞ぎ込むようになってしまいました。