「おばあさま。チカゼくん、とっても大きくなりましたよ」
「……ん?」
「そうやな。私もそう思うわ」
ほんの少し、小さく笑う彼女の顔に影が差す。
「おばあさま、もう。チカゼくんは大きくなりました」
「……」
「もう、とっても強くなったんですよ」
「……そうやな」
「だってちゃんと、寂しいって気持ちと向き合えたんですから」
「……!」
葵はにっこりと笑う。
「おばあさま。もうチカゼくんは大きくなりました。強くてやさしい男の子ですよ。もちろん心も」
「そうかいな」
どういうことかわからないチカゼとキサ、そしてキクは首を傾げているだけ。
「おばあさま。サツキさんアカリさん。それから……カエデさん。きっともう、彼は受け止められます。だから、教えてあげても大丈夫なんじゃないかと、わたしは思うんですけど」
大人組は、驚愕しているようだった。『なんで、知っているのか』と。
きっと彼らには、伝えていると思った。
今はもう話せない彼らが、遺した言葉を。
「はあ。相変わらず流石だな、お嬢ちゃん」
「え。……か、カエデさんって、そんな話し方なんすか」
「おうよ、こっちが本物だ。……ったくよお、お嬢ちゃんには何でもお見通しで怖いったらありゃしねえ」
「いえいえ。ただ、そうなんじゃないかと思っただけなので」
「にしても、俺らは楓くんのことは何も言ってなかったのにね」
「そうそう! どうしてわかっちゃったの葵ちゃん!」
「……あおい、やて?」
チカゼの祖母は何かを呟いて首を傾げていたけれど、考え込んでいたので葵はアカリとサツキ、そしてカエデの方へと視線を向けた。
「まあ、お得意の予想でって感じです。カエデさんがここにおられることは全然知りませんでしたが、ちょっと知り合いからそれを聞いたので、何となく話が繋がった感じですけど」
微笑む葵に、みんなはお手上げ状態。
「どうでしょう。お話するようでしたら、わたしは席を外しますよ」
「いてもいいんじゃないかな。葵ちゃんがそう言ってくれたから、俺らは話す気になったし」
「そうね! 葵ちゃんにも。それから紀紗と菊ちゃんも、話を聞いていきなさい」
「え?」
「……よく、わかんねえけど」
二人は顔を見合わせながら、首を傾げつつも同意を示すように頷いている。
「俺も、お嬢ちゃんにも聞いておいてもらっていいと思いますよ。フジカさん」
カエデの言葉に、みんなの視線が一斉に彼女へと集まった。



