「え。全然痛くない?」
「なんだよ。もう起きんのかよ。もうちょっと演技してた方がおもろいのによ」
むっくり起き上がると、目の前にはカラーテープを両腕で回収し、超どや顔で片腕を上げているシントの姿が。
「え。シント、どうしたの……」
「シントさんって、こんなキャラなん?」
二人はコソコソ。
「いや、最近暴走気味なんだよね。チカくんとは違った意味で」
「いや、あれはオレの暴走よりも遙かに恐ろしいと思う」
「そうだよね」「ああ」とか言っていると、「もうちょっとさ! ちゃんと突っ込んでよ! 長〇〇力かよ! ぐらいはさあ!」と、シントは涙目に。
「ぐすん。まあそれはいいとして」
「「(いいんかい)」」
「あまりにも遅いから迎えに行こうと思ったら……何? 何イチャこいてんのマジで」
「イチャ!?」
「まあそういうことっすよ」
「そういうこと!?」
葵は驚いているけれど、シントの目は鋭くなっていた。
「あのさ、こんなことしてていいの? 楓から連絡来て、千風くんのお祖母様無事だって知ったけどさ、病院行くんじゃないの?」
「え? カエデさん?」
「カエデ……って、あのカエデさん? なんでカエデさんがばばあのこと知ってるんだよ」
「え。知らないの?」
シントは目を丸くしながら答えた。
「楓は元ヒイラギグループ、千風くんのお父様の下で働いてた社員だったんだよ」
驚き桃の木山椒の木!?
まさかこんなところが繋がってると思わないじゃーん!
「(……なら、もしかしたら……)」
未だに驚いて固まっているチカゼを引き摺って車の中にぶち込んだ葵たちは、彼の祖母が入院している桜ヶ丘総合病院へと車を走らせていった。



