すべてはあの花のために④


 その後、みんなにたくさん感謝を告げた葵は、連絡を入れるために席を外した。


『あおいー! お前一体どこいるのー!』

「え? 新幹線?」

『うう……。どれだけ俺が心配したと……』

「ちゃんとお仕事した?」

『え? 最初に聞くことそれ?』

「え? 寧ろそれ以外にある?」

『はあ。ちゃんと作ってるよ』

「おー! さっすがシント!」

『後は乾かすだけ』

「ありがとー! それじゃあねー!」

『おい! もっとあるだろうがよ!』

「ご心配をお掛けしまして」

『うむ』

「ごめんっぴ~」

『ふざけるのも大概に』

「本当にごめん。無我の境地には辿り着けなかった」

『いや、そんなこと聞いてないし』

「かめは〇波も習得できずに終わってしまった……っ」

『うん。できたらすごいから』


 小さく咳払いをして「ま、冗談はさておいてだよ」と言うと『うん。さっきからそう言ってるよ、俺は』と冷たく電話口からは返されたけれど。


「ちょっと、一人になって考えたかったんだ」

『うん。わかってるよ』

「……そっか。流石だ」

『それで? これからどうするの?』

「……笑う」

『え?』

「ずっと、笑ってるよ。泣かないように」

『……そっか』

「でも、溜めてばっかりはダメだよって言われたから、家では吐き出すことにするので」

『うん。俺がそばにいてあげるよ』

「うん。……迷惑かけると思うけど、よろしくね」