「トーマさんは、昨日一昨日は何をされてたんですか?」
「……めっちゃ大変だった」
「え」
そのあと近くの店でランチをしていたのだが。眉を寄せ頬杖をついたあと、窓の外を見る彼の姿は、そのまま灰になって消えそうだった。
「ど、どうしてそんなお疲れに?」
「昨日は、父さん母さんと出かけたんだけどさ」
「……それで?」
「恋愛成就のパワースポットを連れ回された」
トーマは盛大にため息をついていた。
「パワースポット行ったり、食べさせられたり、……いっぱい買い与えられた」
「……そ、それはそれは」
父母よ、どれだけ振り回したんですか。
「終いには、『絶対ものにして来い』『あそこを直せここを直せ』『かっこいい』『頭がいい』『さすがはウチの子』言いたい放題」
「いやいや後半めっちゃ褒めてるー……」
とんだ親バカだ。
「(……でも、本当に愛おしくて仕方がないんだろうな)」
だって、話しているトーマの顔には、疲れていても『楽しかった』って書いてあるもの。
「よかったです。楽しかったみたいで」
「……ん。そうだね。想像以上に楽しかった」
トーマの子供っぽい笑顔が見られて、その可愛さについドキドキしてしまったのだった。



